自尊感情にまつわるコラム

何故嘘をついてはいけないのか/嘘をついてしまうのか

嘘をついて平気な人には近寄らない

「嘘をついてはいけない」道義的な意味では当たり前のことですが、この嘘に傷ついたことのない人など恐らくいないでしょう。

嘘にも「相手を傷つけないための嘘」や「その場の恥ずかしさを取り繕うために、とっさについてしまった嘘」もあります。

大多数の人は、「恥ずかしさを取り繕うために、とっさについてしまった嘘」(例えば本当は寝坊して遅刻したのだけれど、恥ずかしさのために「電車が遅れて・・」と言い訳するようなこと)には良心の呵責を感じます。またこうした半嘘をついて言い訳をしたことのない人など、中々いないでしょう。これが人間の悲しさでもあります。

相手が良心の呵責を感じ、反省しているのなら、片目をつぶってやり過ごすことも、人間関係の潤滑油になります。

また、「ちょっと自信がないな・・・」と内心恐れがあっても、思い切って「やります!できます!」と手を挙げ、その後努力して結果的にやり切る、こうしたある種のはったりは、結果的に自分と周囲のためになります。馬鹿正直に「無理です。自信がありません」が常に良いとは限りません。

しかしこの世の中には意図的に、相手に取り入るためや、利用するため、自分の全能感を満たすため、要は自分のエゴのために嘘をつき、そしてそれに良心の呵責を感じない人が存在します。
こうした人ほど、第一印象は感じが良く、親切にしてくれたりします。「見るからに嫌な感じ」な人は余りいないようです。悪魔ほど天使の仮面をかぶっているものです。

「相手を傷つけないための嘘」「恥ずかしさを取り繕うためとっさについてしまった半嘘」「自分と相手の利益になるはったり」以外の嘘をつく人には、近寄らないのがベストでしょう。嘘をついて平気な人は、何度でも嘘をつきます。

不安定な状況にいる人ほど「明日のめんどりより今日の卵」を選ぶ

では何故、一部の人はエゴのためとは言え、「何度でも嘘をつく」のでしょうか?彼らの内面では何が起こっているのでしょうか?

サイコパスは先天的に脳が「嘘をつくことに不快を感じない」ようになっていると言われています。サイコパスが「良心を持たない」と言われるゆえんです。

また、境界性人格障害の人が用いる防衛機制の「否認」は、「昨日と今日とで180度言うことが違う」「事実と異なることを自分から言う」ことです。これをされると、周囲は大混乱します。これは現実と向き合って葛藤を乗り越える、その力が大変弱いためです。葛藤を乗り越える苦痛を避けるために、場当たり的な「自分にとって都合の良い作り話」をしています。しかし葛藤を乗り越えなければ、ますます自我が弱くなり、また苦痛を避けるために現実を「否認」し・・・の悪循環になります。

嘘をつかない、ということは、信頼関係を築くことです。この世は無条件に信頼に値する、と心から感じている人は、上記の「相手のための嘘」や「恥ずかしさを取り繕うためにとっさにつく嘘」「自分を成長させるためのはったり」以外の嘘を、意図的につくことはしません。

この「この世は無条件に信頼に値する」は、基本的信頼と呼ばれ、生後すぐから一年の間に獲得されます。人間の赤ちゃんは、0歳の時は自分では何もできません。赤ちゃんがお腹がすいたり、おしめが濡れたりして不快を感じると泣いて訴えます。この時、母親(或いは代わりの養育者)が、すぐこの不快を取り除いてくれ、抱いて慰めてくれる、これを何度も何度も繰り返すうちに「不快を感じても、大丈夫」を学習していきます。これが基本的信頼です。

もしこの「すぐに不快を取り除いてくれ、抱いて慰めてくれる」が得られなかったとしたら、どうなるでしょうか・・・?赤ちゃんは自分では何もできません。「この暗黒の世界がいつまで続くのか」を学習してしまいます。つまり、基本的不信です。

基本的不信を学習してしまうと、内面は非常に不安定になります。不安定な状況におかれた人ほど、「明日のめんどりより、今日の卵」「来週の1万円より、今日の5千円」を選びがちです。「明日まで待っていたら、めんどりはもらえないかもしれない」「来週には1万円もらえる約束が、反故にされるかもしれない」その不安定さの中で生きているからです。

信頼を築くには、長い時間を要するものです。ですから、「明日の信頼より、今日の関心、嘘をついてでも今日の『都合の良いこと』」が欲しい、場当たり的な嘘をつく人は、こうしたロジックで生きているのではないかと思われます。

嘘をつくとアイデンティティが混乱する、自分のためにも嘘はつかない

社会的道徳のためだけではなく、自分自身のためにも嘘はついてはいけません。

それは嘘をつくと、アイデンティティが混乱するからです。潜在意識は現実と非現実の区別を付けません。

潜在意識の特徴 ②現実と非現実の区別がつかない

この潜在意識の特徴を利用して、「今より少し先の未来の『既に目標を達成した自分』」になったつもりになる、或いは、尊敬する人を思い浮かべて「あの人だったらどうするだろう」と真似をする、こうした「今の自分を少し押し広げる」のは、自分への愛のためです。潜在意識は「少し押し広げた自分」が実際の自分だと、いい意味で勘違いをしてくれるので、目標達成が早くなります。しかしこれも、せいぜい2、3年先の自分にとどめておかないと無理が生じます。

こうした前向きな目標達成のためではなく、まったく場当たり的な嘘をつくと、潜在意識は「どれが本当の自分かわからない」つまりアイデンティティの混乱が生じます。

「自分が何者かわからない」境界性人格障害の人の、他の人にはわからないであろう苦悩です。

アイデンティティが混乱したまま、心の幸福はありえません。

嘘をつかない、別の言い方をすれば言行一致する、一貫性を持つことは、その時は少々しんどくても結果的に私たちの心の安定をもたらし、困難を乗り越えていける自分への信頼となっていきます。これも自尊感情を支える大きな要素です。

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