自尊感情を高める7つの習慣④ 不安の耐性を高める

不安を消すのではなく、耐性を高める

不安を感じやすい人ほど、「不安を感じたくない、不安を消したい」と望みがちです。もっともな心情ではありますが、現実には不可能です。

何故なら、不安は恐れから生じ、恐れは私たち人間が生き延びるための本能だからです。恐れを全く感じなくなったら、私たちは生きていけません。津波が来たら走って逃げるのも、恐れを感じればこそです。不安を感じるのは、その人の本能が死んでいない証拠でもあります。

また誤った楽観主義(「まだ大丈夫」「誰かが何とかしてくれるに違いない」)は、不安から逃げているだけで、本当の前向きな姿勢ではありません。

ただ、悩みやすい人ほど不安を感じやすいとも言えます。

不安を見て見ぬふりをするのでも、綿菓子のように膨れ上がらせて自分からその不安に押しつぶされるのでもなく、どんなに怖くても現実と向き合い、対処し、不安に振り回されない耐性を高めること。これも自尊感情を高めていくための、不可欠な要素です。自尊感情とは、現実を生き抜く力そのものです。

脳の前頭連合野を活性化させ、扁桃体の不安を抑制

セラピー・セッションでは、目標設定を必ず行い、過去の振り返りから気づきを得て、物事の見方を変える、こうしたことを多く行います。これは大脳新皮質の、前頭連合野という額のあたりにある箇所を活性化させることです。大脳新皮質とは、人間の脳の一番外側を覆い、人間が最も発達している脳の部分です。

前頭連合野の完成は脳の中で最も遅く、学者によっては25歳ごろとも言われています。そして衰える時は最も早いです。お年寄りが「子供に戻る」のは、前頭連合野が使えなくなっているからです。ただ体の筋肉と同じで、高齢の方でも使い続ければ活性化します。

前頭連合野は、大脳新皮質より内側にある大脳辺縁系の中の、別名「パニックボタン」と呼ばれる扁桃体の過剰な働きを抑制します。不安も扁桃体というパニックボタンが押されている状態です。不安の耐性を高めるとは、扁桃体の働きを抑制する前頭連合野を鍛えることです。

扁桃体の活動そのものを止めることはできません。扁桃体は感情の「好き・嫌い」も担っていますので、扁桃体を切除してしまうと、自分が何が好きで嫌いかわからなくなってしまいます。私たちの日々の判断は、まずは「好きか嫌いか」でざっくり分け、その後に「~だから」と理屈をつけています。ですから、何が好きか嫌いかがわからなければ、判断ができません。自発的な選択ができなくなってしまいます。そうなると私たちは「自分自身」を失ってしまいます。

冒頭に書いた通り、不安は恐れという本能によるものです。本能は生まれつきのものです。そして前頭連合野は後天的に発達するもの。ですので、不安の耐性を高めるのは、後天的な訓練と習慣があればこそです。

前頭連合野は、以下の項目にあるような人間の人間らしさ、社会性や心の成熟を担う箇所です。

  • 「誰それが~と言うから、するから」ではなく、「自分がどうしたいか」の主体性と自己責任
  • どんな感情もジャッジせず受け止める客観性
  • ただ我慢するのではなく、「どうやったらもっと上手くいくか」を考え、行動に移す粘り強さ・忍耐力
  • 「これは相手や、全体にとって、或いは未来の自分にとってどうなのか」を考える想像力
  • これまでの自分の歩みをジャッジせずに受け止め、気づきを得る自己承認

これらは全て前頭連合野を使います。これらの要素を高めていくと、おのずと不安の耐性が高くなっていきます。

逆から言うと、主体性と客観性を養わず、責任から逃げ、他人からの承認を得よう得ようとしていると(平たく言えば「かまってちゃん」になっていると)、より不安に振り回される悪循環に陥ります。

人間の脳は、使えば使うほど神経細胞が増えていきます。また使わない神経細胞は、脳が勝手に「刈込み」をしてしまいます。脳の神経細胞も、体の筋肉と一緒です。

よく書く漢字は考えなくても書けるけれど、滅多に書かない漢字は調べないと書けないのは、脳が神経細胞の刈込みをしてしまっているからです。また簡単な足し算引き算の暗算も、習慣的にやっておかないと、刈込みが起こってできなくなってしまいます。

漢字や計算なら、そう大したことにはならないかもしれません。

しかし「責任を取ることから逃げる」と、その時は楽をしていい目をしたように思うかもしれませんが、前頭連合野の神経細胞の刈込みが起きてしまいます。責任逃れを繰り返せば繰り返すほど、脳は「あ、この神経細胞は使わないから、いらないんだな」と判断して、どんどん刈り込んでしまいます。

そうすると、扁桃体の過剰な働きを受け止める、前頭連合野の力は否が応でも下がっていきます。そうすると不安に振り回されやすくなり、一時しのぎをするために「かまってちゃん」をしてしまいます。

責任を取れる人が、自ら不安に振り回され、かまってちゃんになることはありません。

人間関係の悩みの多くは、この不安の耐性を高めることをせず、他人にその役目を負わせようとすることから生じます。依存、支配、執着はその現れです。

弊社の心理セラピーで行っていることは、ざっくり言うと、前頭連合野をいかに活性化させ、鍛えるかということでもあるのです。

人間の行動の二つの動機、愛か恐れ

人間の行動の動機には二つしかない、それは愛か恐れかだ、と言われます。上記の通り、恐れは本能です。一方愛は思いやり、即ち想像力でもあり、これは脳の前頭連合野が担います。つまり後天的に養い育てるものです。恐れは本能なので何の努力もいりませんが、愛は努力が必要です。

愛か恐れかの二者択一というよりも、愛が恐れよりも上回っている状態であるかを当Pradoでは重視します。

「何故それが大事なのか」価値観と目的を中心に

またセラピー・セッションでは、クライアント様のお話の中から、その方固有の価値観を引き出します。

自尊感情を高める7つの習慣⑥ 価値観を明確にする

価値観は、大脳辺縁系の帯状回が担います。この脳の深い部分と、前頭連合野の機能を結びつけていきます。脳のより深い部分から動かしていきます。

人は自分が大事だと思うものを、大事にしようとしている時、エネルギーが湧いてきます。「べき・ねば」で引っ張るだけでは、すぐにエネルギーは枯渇します。「心から大事だと思うものの実現のために、~したい」で動けると、不安はあっても乗り越えようとする勇気がおのずと湧いてきます。

人が不安に振り回されている時、「何が大事か」の価値観や、「それは誰の何のためなのか」の目的を見失ってしまっています。

多くの「やること」に振り回され、「あれもできていない、これもできていない」「走り回ってへとへとになったけれど、何かが積みあがった気がしない」になるのは、優先順位付けができていないからです。優先順位付けは、当たり前のことのようですが、価値観と目的を意識し続けないとできません。つまり帯状回と前頭連合野を働かせる、ということです。

「こんなにやってるのに、中々結果が出ない!どうしよう、大丈夫かな」つい陥りがちな思考パターンですが、これは「やること」と「結果」だけに意識が向いている状態です。

腹が据わった人とは、不安を感じていない人ではありません。まして鈍感な人では尚更ないです。「何のためにそれをやるのか(目的)」「自分の選択や行動が、大事なことの発露(現れ)になっているか(価値観)」に意識を集中している人のことです。

自尊感情を高めるとは、ルンルンで楽しい毎日をすごすことではありません。目的、価値観に意識的になり、主体性と責任を持って生きるということなのです。

>生きづらい貴方へ

生きづらい貴方へ

人と比べない・自分にダメ出ししない・依存も支配も執着も、しない、させない、されない自分に