人と比べる人、人と比べない人の意識の差はどこにあるのか

「人と比べまい」だけをやろうとしても

「人の目が気になる」「つい自分と他人を比べてしまう」「人をねたんだり、うらやんだりしてしまう」・・こうしたことを頭でやめようとしても、中々上手く行きません。そして人と自分を比べると、劣等感や優越感に自分から振り回され、心が休まる時がありません。

もしくは「世の中の平均値の中にいれば安心」「大多数の人と同じなら安心」と言う人もいます。それをすると、その平均値の尺度(年収や住む家や、会社の役職などでしょうか)で常に自分を推し量り続け、「平均値から脱落したら私はダメ」になりかねません。そして少しでも人と違うことを自分から恐れ、自分らしさを押し殺してしまいます。

その一方で、他人からの評価や評判をいちいち気に留めることもなく、淡々とやるべきことを積み上げ、「自分は自分で良い」「自分はやるべきことはやっている」という静かな自信に満ちた人もいます。年収が少ないからと言って卑下することもなく、その分少々お金が入っても有頂天にはなりません。そうした尺度に振り回されないのです。

この両者に、能力的な差が特別あるわけではありません。

そして人と自分を比べない人は、比べまいと意識して比べないのではありません。自然に、意識することなくそうしています。

つい人と自分を比べてしまう人と、比べない人は、一体何がどのように違うのでしょう・・・?

能力・行動・環境(結果)の目に見える尺度

自分と人を比べる時、以下の図のニューロロジカルレベルの「能力・行動・環境(結果)」を比べています。これらは目に見える尺度です。何が出来るとか(能力)、どんな仕事をしているとか(行動)、結果どんな地位や年収を得ているとか(環境)です。

或る一つの物差しで物事を推し量ると、そこには比較が生じて当然です。例えばSNSのフォロワーが多い少ないなどが典型でしょう。

また承認欲求は、犬猫など高度な哺乳類にもある本能です。ですから、承認欲求自体は消えてなくなりません。この承認欲求を、「目に見える尺度」で満足させようとすると、人との比較が止められません。

価値・信念・使命はその人が見つけるもの

人と比べない人が、承認欲求がないわけではありません。上述した通り、承認欲求は本能なので、全員が持っています。

人と自分を比べない人は、その上位レベル「価値・信念」「自己認識・使命」に意識を向けています。

  • 価値・・・何が大事か
  • 信念・・・物事はどうあるのが望ましいか
  • 自己認識・・・自分は何者か
  • 使命・・・誰の何のためにそれをするのか

これらは全て、目に見えません。心で感じ取るものです。また自分自身が発見するしかなく、他人が外側からは与えられません。だからこそ、人と比べようがないのです。

人と比べない人は、能力はこれらの価値・信念・使命を実現するための手段と捉え、場合によっては自分よりも能力の高い人に「任せる」ことすらできます。

自動車王のフォードが、自分よりも能力の高い人を採用した逸話があります。彼は自分の使命が明確であればこそ、「その使命を実現するのに最も適した選択」を取れたのでしょう。

自分よりも能力の高い部下を嫉妬し、あまつさえ潰そうとする上司は、自分の使命がわかっていません。能力・行動・環境(結果)レベルのみに意識が向き、振り回されています。

能力・行動は、価値・信念・使命を実現するための手段に過ぎず、環境はその後からついて来る結果でしかありません。そして結果は多分に運や、その時の状況にも大きく左右されます。同じ人間が日本に生まれるか、中国や北朝鮮に生まれるかで結果は変わって当然です。

自分にはいかんともしがたいことで、人と比べても仕方ありません。

人と比べない人は、結果が自分の価値・信念・使命の発露になっているかどうか、独りよがりでなかったかどうか、そこで自分を承認しているのです。

平たく言えば「本当に相手のためになったかどうか」「仮に相手に泣く思いをさせても、その時は理解されなかったとしても、やるべきことをやったと自分に対して言いきれるか」そうした在り方を自問をしています。もしくは「次はどのようにすればいいだろうか?」と自分の行動に結びつける質問をしています。

人と比べる人は、このような自問はしていないでしょう。自分の在り方や行動を問う質問ではなく、「あの人と比べて私はどうかしら?」と目先の自分が手っ取り早く安心したい、一時しのぎの質問を延々と繰り返しています。

本当に大事にするべきことを大事にしているか

何をしていても、それは自分の価値・信念・使命の発露になっているかどうか、これも平たく言い換えると「大事にするべきことを大事にしているか」を自分に問うということです。

目先の損得勘定に振り回されていてはこの自問はしませんし、またこの自問をすることで、眼に見える評価評判に振り回されることもなくなっていきます。

以下の記事に詳述していますので、是非ご参考にして下さい。

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「私は〇〇さんとは違うから」と言われたいですか?

今このページに辿り着いている貴方は、人と比べる生き方を良しとはしていない筈です。それが当然と思っていれば、検索してこの記事を探そうとすらしません。

自分を人と比べるだけでなく、例えば誰かが貴方に向かって「私は○○さんとは違うから」と言われて、良い気持ちがするでしょうか?誰だって嫌な気持ちになるでしょう。そのような態度は人として間違いだ、と既に知っている証拠です。

ごく普通の心ある人なら、人としてどうあるべきかは、本当はその人の心が知っています。しかし自分の心と繋がっていないと、あっさりと自分を見失ってしまいます。繰り返しますが、評価評判はあくまで結果、おまけのようなもので、それが目的になってしまうと肝心の自分を見失う、人と比べない人はそのことが重々わかっています。

能力には個人差があります。そして能力とそれに見合った仕事の責任の重さによって、違う報酬が支払われるのもまた当然です。しかしそんなことは、人間の様相の極小さな一コマでしかありません。

俳人の中村汀女が、ある人から「先生、お閑(ひま)があれば是非講演を」と依頼され、「ええ、閑です。ですから講演はお断りします」と断り、「相手には全然通じなかったの」と後日別の人に笑って話した逸話があります。

汀女も意識が価値・信念・使命に向いていた証拠でしょう。汀女の使命とは他の誰でもない彼女だけの俳句を書くこと、そしてそのためには、閑、即ち心のゆとりがなくてはならない。忙殺という言葉がありますが、創造性豊かであるためには、心を亡くされ、殺されてはなりません。

そして「講演を依頼されること」で、自分を承認しない、その在り方が身についたから「ええ、閑です。ですから講演はお断りします」と即答できたのでしょう。こういう態度が取れる人だったからこそ、後世にその名を謳われる俳人になったのです。

人と比べない人は「私は凡人です」とさらりと言える人

日々、瞬間瞬間、「大事にするべきことを大事にしているか」の自分への問いは、例えば小さなお子さんがお母さんの手伝いをしたいと言ってきた時、つい「自分がやった方が早いから」と、「それはいいから、あんたは一人で遊んでなさい。宿題でもやってなさい」と言ってしまってないか、そうしたどんな人生にも起きるささやかな場面で試されます。

本当にどうしても、お子さんの申し出を断るべき時もあるかもしれません。しかし大概は、その分の手間が少々かかっても、「お母さんと一緒にやりたい。お母さんの役に立ちたい」子供の心の方が大事な筈です。

そしてこうしたことは、誰にも気づかれませんし、評価評判を得られません。

「大事にするべきことを大事にしているか」の自分への問いは、自分を日々、少しずつ山の頂上へ押し上げてくれます。高い山に登れば登るほど、視界は開け、世界は如何に広大で、そして自分は如何に小さいかを知ります。そしてそれは一種の解放であり、カタルシスをもたらします。

人と比べない人は、「私は凡人です」とさらりと言える人です。

だからと言って「え~、私には無理です~。○○さんが適任だと思います~」と本当はやれる筈なのに、卑下して見せて逃げることもしません。そんな卑怯さを自分に許さないのです。

広大な世界の中の、小さな自分。しかし世界で唯一無二の自分。ナルシシズムと言う誇大感を打ち砕き、謙虚でありながら高潔で誇り高い、一見矛盾しそうな在り方を身に着けた時、誰かと自分を比べることは自ずともうやっていないのです。

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生きづらい貴方へ

自尊感情(self-esteem)とは「かけがえのなさ」。そのままの自分で、かけがえがないと思えてこそ、自分も他人も大切にできます。自尊感情を高め、人と比べない、自分にダメ出ししない、依存も支配も執着も、しない、させない、されない自分に。