【スルースキル】マウントを取らせず挑発に乗らず

真面目で「真に受けてしまう」人ほどカモにされやすい

「何で結婚しないの?」「何で○○しないの?(ワクチン打たないの?セミナー開かないの?)」「誰それさんが貴方のことを△△だと言ってたわよ」「この店いつも客がおらへんなあ。××しなあかんねん」等々。親切ごかしに言ってきても内心はマウントを取りたくてたまらない。

これらはアドバイスのようで、実は心理ゲームを仕掛けているに過ぎません。本当にうんざりするものです。

関連記事

「あの人、どうにかして!」と悲鳴を上げたくなる心理ゲームとは「人を変えようとしてはいけない」・・・確かにその通りですが、世の中には「あの人、どうにかして!」と悲鳴を上げたくなる人がやはりいます。真に自立し、互いを尊重できる[…]

そしてリンクの記事にも書いた通り、「真に受けてしまいやすい、反応しやすい人」ほどカモにされがちです。ただ「真に受けてしまう」のは性分ですから、これそのものを変えようとするより、新たなスキルを身に着けて補うという観点の方が、自分を追い詰めなくて済むでしょう。

単なる「自分に都合の悪いことは聞かない」馬耳東風は、ただのエゴです。そうではなく、まず自分を守り、相手を下手に逆上させない、そしてその後「舐められない」ためのスルースキルを、生まれながらにしてできる人はいません。やはりその人自身が、常日頃からよく考えた上での鍛錬の結果なのです。

まず「自分がどうしたいか」「やれることはやる」

例えば、今は「何で結婚しないの?」と訊いてくる人は、昔よりは減っているでしょう。ただこれも「自分が結婚についてどう考えているか」を今の時点で明確にしておかないと、相手にマウントを取られっぱなしで振り回されます。

特に結婚は、その人の年齢や、置かれている状況によってまちまちです。「私は独身主義です」と言いきれる人は少数で、ほとんどの独身者は、縁やタイミングの問題で結果的に独身生活を送っているでしょう。

それでも「いい人がいればやはり結婚したい」のか、「誰かと一緒に暮らすのはもう面倒。でも通い婚ならOK」なのか、「異性と付き合うことさえもうノーサンキュー」なのかは自分だけが決められることです。

それを明確にした上で「この人に『本当は結婚なんてもう面倒』の本音を言っても通じない」のなら、嘘も方便で「誰かいい人がいたら紹介してくださいよー」とその場はしのぐのもスルースキルの一つです。自分と相手を不毛な議論に巻き込まないのがスルースキルです。そのための「嘘も方便」は、自分を裏切る嘘にはなりません。

そしてこの場合、マウントを取りたいだけの人が、面倒なお見合いのセッティングを自分から買って出ることはまずありませんし、もし万が一、本当にお見合い話が来たらその時になって考えればいいことです。

また「この店いつも客がおらへんなあ」も同じです。「どうやったら集客できるか」を寝ても覚めても考えて、やれることから実践している人なら、「××しなあかんねん」が本当に自分の戦略に合うかどうかは判断できます。

(念のためですが、これは「こちらが訊きもしないのに相手がああしろこうしろと言ってくる」ケースです。自分がコンサルタントなどを雇っている場合は「アドバイスを求めておきながらやらないのなら、契約を解除するしかない」になります)

その××が「本当にその通りだな」と思えれば受け入れれば良いし、「そうかもしれないし、そうでないかもしれない」のなら、判断は保留にしても良いのです。いずれにしても「判断選択するのは自分」ここをぶらさないことが肝要です。

「そうかもしれないし、そうでないかもしれない」の場合は、自分の視点が低く、相手が真っ当なことを言っているのに自分が受け入れられない可能性があります。「耳が痛いと感じる」のは「目をそらしておきたい、でも受け入れなくてはいけないと実は心の奥底ではわかっている」からです。これを受け入れるのも右から左にはできません。人の心の成長はやはり時間がかかるからです。保留にしつつ、心の片隅に留めておくと良いでしょう。

そして例えば相手がお客さんで面と向かって反論できないのなら、ニコニコしながら頷くだけ頷いて、心の中で「あんたに色々言われなくても私はやることやってるわ」と毅然としておく、これも「やることはやっている」自負がなければ取れない態度です。

何かを取り組んでみようとせず、自分でわからなければ誰かに相談しようとせず、ただ「お客さんが来ない」と愚痴ってだけいると、マウントを取りたい人がうずうずしながらやって来ます。その自分の依存心から自立する、それが大前提であり、基本です。

そしてその後、そのお客さんが「××はまだやってないの?」ともし聞いてきたら、「今は☆☆をやってる最中なんです。一遍に全部はできないので、いずれ折を見て・・」と相手を否定せずにやり過ごせるようにしておきます。

他にも、例えば「今は様子見」にしていることなら、それを自分の中ではっきり持っておきます。

こうした「自分がどうしたいか。どう考えるか」がないと、自分から振り回されてしまい、スルーどころではなくなります。

やり過ごそうとしても相手がしつこい場合

万座の前で「誰それさんが貴方のことを△△だと言ってたわよ」と突然言われる、こうしたケースは上記の場合と違って「あらかじめ『自分がどうしたいか』を考える」ことはできません。特にこちらがリラックスしている時、心の隙を狙って投げ込んできます。心理ゲームを仕掛ける人は、こうした隙を虎視眈々と狙っているものです。

一対一ならともかく、他にも人がいる、特に自分の知らない人、それほど関係が深くない人がいる場合、いきなり喧嘩もできないでしょう。周囲を慮る心優しい人ほどターゲットにされやすく、だからこそ「相手は自分に牙を剥かない」と踏んで投げ込んできます。大変卑怯な態度です。

大抵の場合、「へえ、そうだったんですか」とだけ言って、まずその場をやり過ごそうとするものでしょう。それで事が済めばいいのですが、相手がしつこい場合が面倒です。

これもこうしたケースを想定して、短い切り返しの言葉を用意しておきます。

「おっしゃりたいことはそれだけですか?」

「誰それさんが貴方から私にそう言うようにおっしゃたんですか?」

「貴方はそのことをどうお考えですか?」

など、質問返しにすると相手は言葉に詰まります。その際もつんけんせずに、優雅にやんわりと切り返すくらいの心の余裕を見せると相手にマウントを取らせません。怒って言い返したくなる氣持ちは否定せず大事にして良いのですが、ただそれをそのままやってしまうと「何だ!その態度は!」と話がすり替わってしまう危険性があります。

また「誰それさんが貴方のことを△△だと言ってたわよ」に反応的になって、「えーだってあの時は・・」と自分から弁解がましいことを言うと罠に嵌ります。相手はまさにそれを狙っています。

その後、その場にいる他の人のために氣まずくなった空気を変えたいなら、自分から明るく他の話題を振ると良いでしょう。腹立ちまぎれにその場を蹴って出たくもなるかもしれませんが、欠席裁判になる可能性は充分あります。

今この記事を読んでいらっしゃる方の中には、これと同じではなくても似たような経験がある方もおられるでしょう。相手への怒りや、真に受けてしまって上手く対処できなかった自分への悔しさがもしあれば、その氣持ちを大切にして「次に似たようなことが起きた時、毅然と、優雅にスルーできる自分」になるための原動力にして頂けたらと思います。

こうして一回一回「次はどうする」のシュミレーションを、具体的にイメージして、自分の切り返しの言葉を用意する、いざという時さっと言えるように準備する、それが経験を無駄にせず、失敗から学ぶこと、傷ついた自分を本当の意味で癒し、その自分に報いることです。

ネットで絡まれそうになった時ほど挑発に乗らない

上記の例は、直に人と接した場合を想定しています。面と向かって嫌がらせをしてくる人は、どちらかと言えば少数派でしょう。

しかし、ネット弁慶という言葉がある通り、面と向かっては何も言えない人でも、SNSなどでは些細なことで絡んできたり、失礼な罵詈雑言を浴びせてくることもやはりあります。一回一回丁寧に対応している人もいますが、全員が全員やれることではありませんし、個人的にはいわゆる「完スルー」で良いと思います。

その時、正義感の強い人ほど「正論を言って相手を正したい」衝動に駆られるかもしれません。自分が抱いた思いは、自分の信念ですから、否定せずに大事にした上で、「それを言ったら何が起きるか」の結果予測の質問を自分にすると、うっかり挑発に乗らずに済むでしょう。橋の上から、少し高い建物の窓から、起きている出来事をイメージの中で眺めてみます。つまり俯瞰です。

相手は事の真偽、何が正しいかとか、「こんなことをネットで流布したら、多くの人が傷つく」などとは考えていません。それを考えられる人は、最初からネット上で他人様に失礼な態度を取りません。絡んでいって構って欲しい、或いは、中傷記事をUPすることで、一緒に「そうだ、そうだ」と言い合える仲間を募りたい、そうやって孤独を紛らわそうとしているだけで、こちらが正論を言えば言うほど、「恥をかかされた」「自分を否定された」としか捉えず、自分を省みることもなく、逆上するだけでしょう。

そしてその時プチ炎上するだけに留まらず、その後も粘着されて、あることないことをネット上で中傷されるかもしれません。完スルーは、「大難を小難にする」、白か黒か、勝つか負けるかの二択ではない、「(粘着され中傷され続けるという)最も避けるべきことを避けるために、この場は引き下がる」という中間解を考えられる態度があればこそです。

「美味しいとこどりがしたい。損はしたくない」があるとスルーできない

今回ご紹介したスルースキルは「その場で自分と相手が不毛な議論にならない。そして何よりも、自分の尊厳を守る」ためのものです。

例えば「言いたいことはそれだけなの?」と切り返せば、相手は言葉に詰まり、何か言い訳がましいことを言ってその場は終わりになるでしょう。しかしそれを不満に思った相手は、別の場で貴方の悪口を言うかもしれません。

そしてそれを恐れる氣持ちがこちらにあると、「言いたいことはそれだけなの?」を言えなくなります。

どんなことでも、何かを得れば、何かを失います。人生に美味しいとこどりはありません。

再々「スルースキルを使わなければならない相手」なら、「その人との関係性を見直す時期」というサインです。「その人との関係性を仕切り直すのも面倒。相手してくれる人が減るのが寂しい。スルースキルを使うのもエネルギーが要るから面倒くさい」では、結果、他の誰かが決して守ってはくれない自分の尊厳を犠牲にしてしまうのです。

【音声版・自尊感情を高める習慣・6回コース】

1回約20分、6回コースの音声教材です。

第1回 自尊感情とは何か。何故大事か
第2回 全ての感情を受け止め、否定しないことの重要性
第3回 「何が嫌だったか」を自分に質問する。目的語を補う
第4回 期待通りに成らない現実を受け入れざるを得ない時
第5回 小さな一歩を踏み出す・最低限のラインを決める
第6回 人生が変わるのは知識ではなく氣づき

第1回目は無料で提供しています。まず一週間、毎日聴き、ワークに取り組んでみて下さい。その後更に日常の中で実践してみたくなったら、6回分の音声教材(税込5500円)をご購入下さい。

🔗第1回・要約・氣づきメモ

6回分ご購入をご希望の方は、以下のフォームよりお申し込み下さい。

    弊社よりメールにて、振込先口座をご連絡します。振込み手数料はお客様負担になります。入金確認後、6回分の音声教材とPDFが表示される限定公開のURLとパスワードをメールにてお送りします。

    NO IMAGE

    生きづらい貴方へ

    自尊感情(self-esteem)とは「かけがえのなさ」。そのままの自分で、かけがえがないと思えてこそ、自分も他人も大切にできます。自尊感情を高め、人と比べない、自分にダメ出ししない、依存も支配も執着も、しない、させない、されない自分に。