「安い=良い」が「お金を得る=罪悪感」にならないために

千差万別のお金のブロック

世の中の多くの人が、収入を増やしたいと望んでいることでしょう。
棚から牡丹餅や、人をだましてお金を取ろうとする、そんなことは考えずに真面目に努力している人がほとんどでしょう。それなのに、何故か中々収入が増えない場合、自分がお金に対してどんな思い込みを持っているか、振り返ることが必要です。

「お金持ちは悪い人」「貧しいことが清く正しく生きている証」「お金を稼ぐとは上手いことを言って騙すこと」等々の思い込みがあると、「お金を得る」ことにブレーキがかかってしまいます。
「お金を得る=罪悪感=良い人生を送れない」になってしまっているからです。いわゆるお金のブロックと言われるものです。

このブロックは千差万別です。「さあ、○○をすれば(○○セッションを受ければ、催眠暗示をかければ)、あなたのお金のブロックが、あたかも氷が解けるかのように消えてなくなりますよ」ということはありません。どんなブロックなのかを探し出すことの方が難しく、また重要です。

こうした思い込みは、思い込みですから、事実とは異なります。しかし、中々自分では気づきません。だからこそ、解除しない限り何年でも続いてしまいます。

また、これも潜在意識の領域である自己価値感(自分には価値があると言う実感)が低いと、現実の能力とは関係なく、「自分はより高い報酬を得るには値しない」という自己イメージを知らず知らずに持ってしまいます。これもまたお金のブロックになります。

今回は、多くの人が持っているであろう「安い=良い」という思い込みに、焦点を当てていきます。

一般化したがる脳の罠

ところで、私たちの脳は一般化をしたがります。
一般化とは、例えば「男とはこういうもの」「上司とはこうあるべきもの」「太ることは良くないこと」等、それ以外の可能性を排除する考え方のことです。

或る状況においては「太ることは良くない」かもしれませんが、「太った方が良い」こともあります。しかし人間の脳は「太ることは良くない」と「太った方が良い」の思い込みを同時には持ちません。

人間の脳は、事実を全てそのままインプットすることはできません。目に映ったもの全てを記憶していたら、脳はパンクしてしまいます。
ですので、事実を「地図にして」脳の中に入れています。地図にする時に起こるのが一般化です。地図上の記号のようなものです。〒は郵便局の記号ですが、現実にはどの郵便局の建物も異なります。しかし、地図上には同じ〒で記されている、このようなことです。

私たち人間は、自分の脳の中の地図で、世界を推し量っています。そしてこの世界地図は全員異なり、また目に見えません。

「安い=良い」の一般化を解除

そしてこの一般化は、繰り返せば繰り返すほど、わだちが深まるように強化されます。

日々の買い物で、同じ品が安く買えると得をした気持ちになる、当然のことですが、これが繰り返されると「安い=良い」の一般化が強化されます。

これを裏から言うと「高い=悪い」になります。「安い=良い」と「高い=良い」を同時に脳の中にインプットすることはできません。

こうなると「高い=悪い」が、「高い収入を得ること=罪悪感」に転じることがあります。そしてこれがお金のブロックになってしまいます。自分のスキルを高めて、自分の仕事を高く売るよりも、自分を安売りしてしまうことをやってしまいかねません。

そこで現実には、全てが「安い=良い」なのか、今度は顕在意識の頭、つまり理性を使って考えることが必要になります。
これが一般化を解除する、ということです。

私たちが日々商品やサービスを買ったり、祝儀不祝儀や謝礼など、人様に直接お金を払う時、大きく分けて以下の3つのパターンがあります。

1.元々安いもので良い

例えば、我が家のトイレットペーパーは、古紙再生率の高い、余り漂白されていないものを使っています。12ロールとか18ロールとかで300~400円といった「元々安いもの」です。
これは私自身の価値観で、「トイレットペーパーは安いもので充分」と思っているからです。

一方、実家では色や柄のついた、もっと柔らかいものを使っています。つまり、もう少々高いものです。

人によって何が元々安いもので充分かは異なります。これは購買力も関係しますが、寧ろ価値観の方が影響が大きいでしょう。

2.元は或る程度の値段がしていたものが、安く買えると嬉しい

これも私自身の例ですが、夏場に着るTシャツやポロシャツは、一回洗濯したらよれよれになるような安物では困るので、或る程度作りがしっかりしたものが欲しい、ただ洗濯機でガンガン洗えて、3年も着たら惜しげなく買い替えられるものが良い、と考えています。

今年の流行をいち早く取り入れたいとか、人気の品がなくなったら嫌だと思うほどのおしゃれさんではないので、セールになるのを待ってまとめ買いをしています。

このように「”安物”では困るが、”安く”買えると嬉しい」はほとんどの人が思っていることでしょう。

3.様々な理由で、或る程度の金額を自分から払いたい

安全、安心、信頼に関わることは、自分から或る程度の金額を払いたい、と思うこともあります。

例えば子供の教育に関わることは、「他を切りつめても、少々値段が高くても良い教育を受けさせたい」と考える親御さんも多いでしょう。

また旅行や外食など、自分だけならグレードを下げても良いけれど、大事な人を招待するのなら奮発しようとすることもあります。

心から御祝いや御礼をしたい場合も、「安ければよい」とは考えません。自分が出来る範囲で、かつ相手に気を遣わせない範囲の金額を包もうとします。

つまり、私たちはいつでも、「安い=良い」だけでお金を払っているわけではなく、常に「高い=悪い」と考えているわけでもありません。ただ、普段は余り意識していないかもしれません。

自分の稼ぐ力が「安い=良い」だと収入は伸びない

商品やサービスを売る仕事をしている人で、その商品やサービスが「安いとお客さまに喜ばれる」ことが多いと、「安い=良い」が日々刷り込まれてしまうかもしれません。

しかし商品やサービスが「安い=喜ばれる=良い」であって、その人がその商品やサービスを調達し、供給する力はまた別です。これを混同していると、お金のブロックになり、収入は伸びません。

その人の収入は、商品やサービスではなく、それらを「調達し、供給する力」への対価です。

お給料を支払う側に立てば、この「調達し、供給する力」は上記3の「信頼に基づき、それに見合った金額を支払いたい」になるはずです。

(労働力を「安いもので充分」だとその企業の力そのものがそぎ落とされ、経営者自身の首を絞めます。また労働力を「元々良いものを安く買いたい」は、ブラック企業です)

日常のお買い物で、上記の1や2の機会が多い場合、うっかりすると「安い=良い」が刷り込まれ続けるので、「これまで3のお金の使い方は、どんなものがあったか」を振り返ってみましょう。

そして人生を豊かにしてくれたのは、むしろ3のお金の使い方であった、と気づくかもしれません。

そうなると、自分に対して3のお金の使い方をしてくれるということは、相手の人生も豊かにする、と考えることもできるでしょう。

葛藤こそが、自分のものの見方を押し広げるチャンス1

今の自分の人生が、望んだとおりの結果になっていない場合、それには何らかの原因があります。

人は多くの場合「頑張りが足りない」と考えて、自分を鞭打とうとします。勿論、価値あるものを得ようとするならそれなりの対価は支払わなくてはならず、その対価の一つに「努力」も含まれています。

しかし、例えば「安い=良い」「高い=悪い」の思い込みが収入にも影響したまま、自分を鞭打って頑張っても、望む結果は得られません。

そしてこれが積み重ねられると、「こんなに頑張ってるのに」「人生は望み通りにはいかない」「人生は楽しくない」「毎日が楽しくない」になりかねません。

頑張っているのに中々上手くいかない、それは何かを見直すサインです。葛藤こそが、自分のものの見方を押し広げるチャンスであり、それはお金においても同じです。

【音声版・自尊感情を高める習慣・6回コース】

1回約20分、6回コースの音声教材です。

第1回 自尊感情とは何か。何故大事か
第2回 全ての感情を受け止め、否定しないことの重要性
第3回 「何が嫌だったか」を自分に質問する。目的語を補う
第4回 期待通りに成らない現実を受け入れざるを得ない時
第5回 小さな一歩を踏み出す・最低限のラインを決める
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🔗第1回・要約・氣づきメモ

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    生きづらい貴方へ

    自尊感情(self-esteem)とは「かけがえのなさ」。そのままの自分で、かけがえがないと思えてこそ、自分も他人も大切にできます。自尊感情を高め、人と比べない、自分にダメ出ししない、依存も支配も執着も、しない、させない、されない自分に。