True Self(真の自己)を生きていますか?・True Self/False Self(偽の自己)とは

心の内側から自然に湧き上がる喜び・True Selfとは

True Self(真の自己)とは、英国の精神科医・小児科医のドナルド・ウィニコットが提唱した概念です。

幼い子供たちが、評価や役割期待とは無縁に、生き生きと自分を表現でき、内側から自然に湧き上がる喜びを生きているような状態です。

「ありのままの自分で良い」という自己受容が基盤にあります。それは条件付きで自分を認めている自己肯定とは異なり、「私は私で良い」という根源的な安心感です。

何より、「うれしい」「好き」「ヤダ」「悲しい」と感情をそのまま感じ、自然に表現できます。感情を恥じたり、抑えつけたりしない状態です。

子供たちが図画工作や音楽、体育の時間を好むのは、言語表現がまだ未発達の時期に、自分が感じていることを創作や身体を使って表現する喜びを生きているからなのでしょう。

大人は子供のように、素直に感情を表現できる機会がどうしても減っていきます。また子供と違って、失望、無念、喪失感、不条理さなどの、どうにもできない複雑な感情を感じることもやはり増えます。

大人のTrue Selfとは、これらの複雑な感情を、抑圧や否認、矮小化などをして「なかったこと」「見て見ぬふり」をするのでもなく、また外投げをして自己正当化をするのでもありません。後述する腹側迷走神経の活性化により、これらの感情を「そのまま抱える」ことが、成熟したTrue Selfを生きることになります。

健全なFalse Self・不健全なFalse Self

True Selfと対になるのがFalse Self(偽の自己)です。

私たち大人は、いつでも「そのままの自分」を剥き出しにはできません。礼儀正しく接する、その場では感情を抑える、ルールやマナーを守るなどの、True Selfを守るための盾がFalse Selfです。

このように互いが円滑に交わる相互尊重のためのFalse Selfは、健全なFalse Selfとなります。健全なFalse Selfが必要最小限、そして状況に応じて柔軟に使い分けれらるとTrue Selfを守り、支えます。「社会性は充分に獲得しつつ、自分を失わない」状態とイメージしていただければと思います。

不健全なFalse Selfは、True Selfを過度に抑圧し、本物の感情・自発性・創造性を飲み込んでしまうものです。以下に挙げた例が典型です。

  • 過度に周囲に合わせすぎる過剰適応
  • 「どうせやっても無駄」の学習性無力感
  • 「私が何とかしなくっちゃ!」の過剰責任感
  • 「私さえ我慢すれば、丸く収まる」の自己犠牲
  • 「何が正しいか」ではなく「人から悪く思われない方を選ぶ」自己欺瞞や偽善
  • 「私や家族さえ良ければ」の他人事化

「生きづらさ」とは、不健全なFalse Selfが肥大化し、True Selfが飲み込まれた「自分を失った」状態でもあります。ただそれは多くの場合、幼少期の生育環境における生存戦略であり、適応の結果です。「自分という存在を薄める」事によって、生き延びようとした無意識の戦略でした。

ただ、大人になって状況が変わっても、同じ生存戦略を繰り返すと、周囲との摩擦を生んだり、依存や搾取をされっぱなしにもなり得ます。

また特に、自己欺瞞や偽善は、ドーパミンという快楽物質が脳から放出されるので、依存になってやめられなくなる上に、社会全体の停滞を生みます。責任ある社会人の態度とは言えなくなってしまいかねません。

例えると、健全なFalse Selfは、True Selfを守るためのいくつかの盾を、状況に応じて使い分けている状態です。主体は自分自身にあり、盾を手に持って、意図的・戦略的に使っています。True Selfとは若干の距離があります。

不健全なFalse Selfは、盾だけでなく、鎧兜と、顔を守るための仮面までつけている状態で、しかも慢性化しています。「周囲に合わせていれば安全」の仮面が、本当の自分だと思い込んでいるような状態です。

親から存在を認められると自然にTrue Selfが育つ

冒頭にあげた通り、True Selfとは「ありのままの自分で、ここにいて良い」という無条件の受容であり、存在そのものを認められている安心感に支えられます。

存在そのものを認められるとは、

「今日の遠足、どうだった?お天氣良くて、良かったね」
「今年の担任の先生、どんな先生?新しいお友達はできた?」

などの、評価を伴わない、子供の内面的な経験に親が関心を持ち、認め、受け入れ、喜ぶ体験です。

この「存在を認められる」ことを日常的に経験していると、「私はここにいて良い」と無条件に自分の存在を肯定できます。True Selfが自然に、健全に育っていきます。

見過ごされがちなのは、「親らしい行為」はしてくれる、遠足のお弁当に、海苔巻きや稲荷ずしなどを、手間をかけて作ってくれる。しかし「遠足、どうだった?楽しかった?」とは訊かない、不作為の態度です。この不作為は、記憶には残らず、しかし子供の身体の神経系には「ここは安全ではない」「私の存在は薄められている」「私はここにいて良いのか」と言った、言語化できない不安を刻み付けてしまうのです。

子供は存在を認められないと、今度は評価されることで、自分を認めてもらおうとします。勉強や家のお手伝いを過剰に頑張る、親の感情的な面倒を子供が見る(親の愚痴の聞き役になるのが典型です)親子逆転が起きる、などです。これが上記の「『私が何とかしなくっちゃ!』の過剰責任感」に転じやすく、他人との関係においては、依存と搾取をされやすくなります。

この過剰責任感は、周囲から評価され、当てにされ続けるので、自分で氣づくしかありません。

大人がTrue Selfを再び生きるには

ところで、私たち人間の身体の安全を守る自律神経は、交感神経と副交感神経に分かれています。交感神経は覚醒、副交感神経は休息を担います。更に言えば、交感神経は「逃げるか/戦うか」の警戒モードです。副交感神経には腹側迷走神経の「安全・つながり・喜び」と、背側迷走神経の「解離・シャットダウン」にまた大別されます。

生まれ育った家庭が安全・安心なものでなかった人の神経系は、警戒モードの交感神経が常に優位になっているか、それにも疲れ果てて、背側迷走神経のシャットダウンが起こりがちです。頭で「リラックスしよう、自分の好きなことに時間とエネルギーを使おう」としても、なかなかうまくいかないかもしれません。それは身体の神経系が警戒モードかシャットダウンかが慢性化し、そこから簡単に動けなくなった可能性があります。

冒頭に、そのままの感情を自然に表現できるのが、子供のTrue Selfであると書きました。「怒ってはいけない」「泣いてはいけない」と、親から言葉によって、或いは態度で命じられると、子供はTrue Selfを見失い、False Selfが肥大化する一方になってしまいかねません。

ですので、大人はまず、自分の身体に「今、ここは安全だ」と教えてあげることから始める必要があります。「ここは安全」は、腹側迷走の活性化そのものです。この腹側迷走の活性化は、一回体験すれば終わりではなく、日常的に習慣化する、息の長い取り組みが求められます。しかしこれは、誰かにできて、誰かにはできないものではありません。

身体の神経系の安全=腹側迷走の活性化を基盤に、自己受容と自己慈悲を養い、「ヤダったね」と過去の未消化の感情を少しずつ抱き留める。これを繰り返すことにより、喪失感、失望、悲しみをも「自分の人生に起きたこと」と大事に抱えられる、成熟したTrue Selfが徐々に現れていくでしょう。

その取り組みについては、また今後の記事で改めて詳述していきます。

【音声版・境界線とは「No」を言うこと・流されない生き方のために】


【このような悩みを抱えている方へ】

・適切な「No」を言えるようになりたい。迎合したり、操作されたくない。自分の意志で人生を生きたい。
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【音声教材を聴くことによって得られる効果】

・何故「No」を言うことが大事なのかが再確認でき、やりやすいところからチャレンジできる。
・「No」を言うために必要なこと、限界設定、責任、結果予測、選択肢を増やす等、「遅い思考」を鍛える意義がわかる。
・親に反抗できなかった人は、親(大人)の言いなり良い子になることをやめる決意ができる。自分と親の関係性を見直すきっかけにできる。
・日常の中で小さな「No」に躊躇しなくなり、「他人にどう思われるか」ではなく「自分がどうしたいか」「何が責任を果たすことなのか」で物事を取捨選択し、たとえ結果が思わしくなくても、「自分が選んだ」ことそのものに対しては自負を持てる。

【全6回のテーマ】

第1回  結果を負うのは自分しかいない。「No」を言わなければ「Yes」と言ったと見なされる (約17分・無料で公開します)

🔗第1回 要約・氣づきメモ

第2回 「No」を言いづらい時、何を恐れているのか (約17分)
第3回 「人は安心の名の下に自由を手放す」責任と結果予測 (約14分)
第4回  速い思考と遅い思考・現実を見ることと選択肢を広げること (約18分)
第5回  思春期の頃、親に対して「うるせえ!クソジジイ!クソババア!」と言えましたか? (約15分)
第6回  境界線の内側には良いもの、外側に悪いもの・境界線は真の自由と自立のために (約16分)

5500円(税込み)振込み手数料はお客様負担になります。

まず第1回を試しに聴いて頂き、ワークに取り組まれた後、「もっと勉強して実践したい」方は、以下のフォームにてお申込みくださいませ。
振込先の銀行口座をメールにてご案内します。お振込み確認後、URLとパスワードをメールにてお知らせいたします。

もし、お申し込み後2、3日経っても、弊社からのメールが届いていない場合は、受信メールのゴミ箱に入っていないかご確認くださいませ。
やはり届いていない場合は、大変お手数ですが、弊社へメールかお電話にてご連絡くださいませ。


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