自尊感情にまつわるコラム

「今の自分は本当の自分ではない」の危険性・等身大の自分の重要性

「夢を語るだけ」で行動に移さないのなら、要注意

「夢を語る」のはそれこそ夢があって、前向きに生きているような印象を受けます。しかし、自分でも他人でも、夢を語るばかりで一向に行動に移そうとしないのなら、要注意です。

例えば「起業したい」「独立してこれこれをやりたい」と語る人は多くても、実際に起業に踏み切る人はほんの一握りです。
有料無料関わらず、起業塾に参加していたとしても(何年も起業塾を転々とする人もいます)。

結局起業しなかった理由を「資金が足りなかったから」「周囲の理解が得られなかったから」「自分の能力に自信が持てなかったから」などとしていることが多いですが、実際のところは違います。

起業する人は「あるお金で始める」ものですし、周りがどんなに反対しようと「やむにやまれぬ思い」で始めます。

また「能力に自信がつくのを待って」起業する人はいません。起業した人たちが「自分の能力に完全に自信がある」わけでは決してなく、どんな人も常に途上です。

起業しない人の多くは、本当のところは「起業したくない」のです。

「え!?『起業したい』って言ってるじゃない!?」

・・・その人たちが本当に欲しいのは「起業」ではなく、「起業を夢見ている自分」なのです。

これは「ダイエット」「婚活」「留学」「資格取得」「事業拡大」「俺は天下を取る!」などでも同じです。

どんなに小さくても現実の行動に移そうとしなければ、実際にはそのことは「やりたくない」ことなのです。

人間の本音は行動に現れる・自分の本音を探るヒント

「今の自分は『本当の自分』ではない」⇒「『夢の自分』が本当の自分」

今現在の、等身大の自分を受け入れられないと、その自分から目をそらそうとして「夢を語る」ことがあります。

受け入れがたい今の自分は「本当の自分」ではない、「本当の自分」はどこか別のところにある、と思いたがる状態で、これこそが自己虐待です。

ある心理実験で、二つのグループの片方には、ファストフードのサラダの写真が載っているメニューを、もう片方には載っていないメニューを見せたところ、サラダが載っているメニューを見たグループの方が、高カロリーのものを頼む割合が多かった、というものがあります。

脳はサラダの写真を「見た」だけなのに、「自分は健康に気を遣っている、だから高カロリーのものを食べても大丈夫」と自分で自分を騙してしまうのです。

これが、実際には何もしなくても、健康番組を見ただけで「自分は健康に対する意識が高い、健康に気を遣っている」とか、セミナーを受講しただけで勉強したような気分になったり、ということが起こる理由です。

夢を語っているだけで、現実には何の行動もしていないのに、脳は「夢の自分」が現実の自分のように勘違いをしてしまう、こうしたからくりがあります。

そして現実の行動に移す、ということは、その途端に「思ったようにはうまくいかない」「夢の自分のようには(すぐには)うまくできない」自分を目の当たりにする、ということです。

夢を現実のものにするには、この「すぐにはうまくいかない」自分を投げ出さない、自分への忍耐と愛情が不可欠です。この忍耐と愛情が不足していると、「夢を語るだけ」の現実逃避をまたしてしまいます。

「夢を語る」のは一見ポジティブそうだけれど

ですから「夢だけ語って、現実には何もしない」のは、「痛い目には遭わずに『そんな気分』を味わえる」一種の麻薬であり、自己欺瞞です。

そして一見前向きそうなポーズを取ることにより「○○さんって夢があるんですね」などと、承認欲求を満たせてしまったりもします。

しかし、夢を語るだけで行動に移さないたびごとに、「自分の言葉は真実ではない、現実化しない」という暗示を潜在意識に自分で入れてしまいます。自分の言葉の説得力を、どんどん自分で削ぎ落としてしまいます。

この「夢を語るだけ」は、ちゃらんぽらんな、いい加減な人だけがやるわけではありません。

意図的に嘘をついたり約束を破ったり決してしない真面目な人でも、等身大の自分を受け入れられないと無自覚にやってしまいます。

もしかすると「誰かを陥れようとして嘘をつくわけではないし、別にいいんじゃないの?」と思われるかもしれません。「語っているだけで、別に誰にも迷惑をかけていないし」と。

しかし、実はこれが大変曲者です。誰かに直接迷惑をかけていないからこそ、抗議されることもなく、本人は無自覚なままです。

「あの人、口だけよね」と思う人を、心の底から信頼できるでしょうか・・・?

他人は、付き合いをやめればそれで済みます。しかし自分自身はそうはいきません。

自分の潜在意識が自分を信じない、即ち自信を失ってしまいます。どんなに真面目に頑張っていたとしても。寧ろ「こんなに頑張っているのに、私はどうして自信が持てないのだろう・・・?」になってしまいます。

何か意欲がわかない、時間がないから、お金がないから、会社が~だから、等々の言い訳をして、チャレンジできないのは、自分の潜在意識が自分を信じ、協力してくれないためです。

結果的に、自分にも他人にも不誠実なことをしてしまいます。

ですから、後に詳述しますが、言行一致することが大変重要なのです。

夢なり目標なりを実現する人の多くは、それを人に語らず、寧ろ「黙ってやる」傾向にあるようです。これは「語っただけで、自分をその気になったように騙してしまう」ことを避けるためだと思われます。

目標達成と等身大の自分を受け入れることはコインの裏表

人は夢や目標を達成したら、実現したら(ダイエットに成功したら、年収がいくらになったら、試験に合格したら、試合に勝ったら)、自信が持てると考えがちですが、真実は逆です。

今現在の、等身大の自分を受け入れ、認め、卑下したりいじめたりせず、愛し、励ますから目標が達成できるのです。これは体の病気や心の悩みも同じです。

TEDのプレゼンテーションや著書「奇跡の脳」で有名な、脳科学者のジル・ボルト・テイラー博士は、37歳の時に脳卒中に倒れました。

左脳に血の塊ができ、それを摘出するという大手術を受けました。彼女は言葉や過去の記憶を失い、母親のことさえわからなくなってしまいました。

ジルの奇跡的な復活をたどったドキュメンタリーがNHKで先日放映され、大変興味深く見ました。

麻痺した左脳の一部は、数字の概念をつかさどるところで、当初彼女は「8」という数字の形がわかっても、それが何を意味するのか理解できなくなってしまいました。

番組の中で、母親のジジがジルに「5分の3はいくつ?」と尋ね、ジルがしばらく答えられなかったシーンがありました。ややあって「0.6ね。分数は難しいのよ」と答えていました。

ジルはその自分でOKなのだ、と自分を受け入れているから、奇跡の復活を成し遂げたのだ、とその時私は直観しました。

「かつては難しい数式を扱っていた脳科学者だったのに、今は簡単な分数でさえわからないなんて、ああ自分は情けない」などと決して思わないのです。

人がよく陥りがちな思考ですが、ただでさえ辛い肉体に、そのような鞭打ち方をしていては、体は、潜在意識は、脳は、決して応えてはくれません。

今現在の、等身大の自分を受け入れるための4つの方法

それでは、今現在の、等身大の自分を受け入れるために、何をしたらいいのでしょうか?何から始めたらいいのでしょうか?

等身大の自分を受け入れている人たちが、必ずやっている、最大公約数的な4つの方法を以下に挙げます。

1.ネガティブな感情を受け止める

まずこれが基本のキです。自分の中の、認めたくないネガティブな感情を否定せず、もう一人の自分が「一体何が嫌やったん?」とジャッジせずに受け止める習慣です。

自尊感情を高める7つの習慣① ネガティブな感情を受け止める

自分の中のどんな感情もOKだ、ということです。ネガティブな感情を感じることと、それを不適切な行動化(暴言や誹謗中傷、八つ当たりなど)に出すことは別です。

受け止められる自分が十分に育っていないからこそ、その自分から目をそらすために、行動に移さない夢を語って、現実逃避してしまいます。

2.言行一致「言ったことはやる」「やりもしないことは言わない」

「行動に移さない夢を語る」の逆をやる、ということです。

言行一致すればするほど、「自分の言葉は真実であり、現実化する」という暗示を、潜在意識に入れることができます。

更に付け加えれば、夢や目標を実現できるかは、常日頃からどれくらい言行一致しているかにかかっている、と言っても過言ではありません。

そして言行一致を心掛けようとすればするほど、「言ったことはやる」よりも、「やりもしないことは言わない」方が、手っ取り早いことに気がつくでしょう。

少しでも面倒に感じることは、何だかんだと言い訳をして、先延ばしにしたがる自分を目の当たりにするからです。

先延ばしはしないに越したことはありません。が、心にとってより大切なことは、「自分はこんな些細なことでさえ、先延ばしにしたがるんだ」ということから、目をそらさず、ジャッジせずにそのまま受け止めることです。

3.全てのことは「何かと何かを天秤にかけて、自分が選んでいる」

私たちは意識的にせよ無意識的にせよ、必ず「何かと何かを天秤にかけて、自分が選んで」います。

「そんなことない!あんな理不尽なことをしたあの人が悪い!」

・・・理不尽なことをした道義的責任はあの人にありますが、それをどう受け止め、反応し、対処したかは自分の領域です。

上記のジル・ボルト・テイラー博士も、脳卒中は不慮の出来事で、彼女の責任ではないかもしれません。しかしそれにどう向き合うかは、ジルにしか決められないことでした。

勿論子供のころや、経験や知識が未熟な若いころは、どうしたって選択肢が少なくなります。その頃の「選択肢の少なさ」は自分の責任ではありません。

しかし、その少ない選択肢の中から、「よりましなもの」(極端に言えば「死ぬよりかはましなもの」)を無意識ではあっても選んできました。

言い方を換えれば「常にその時のベストを尽くしていた」のです。「あの時、ああすればよかった、こうすればよかった」を後悔と言いますが、これは後づけの知恵に過ぎません。

タイムマシンに乗って「その時の自分」に戻って、同じ場面に遭遇しても、結局は同じ選択をします。「今の自分」なら違う選択をしたかもしれませんが、これは言っても詮無いことです。

今日の、今の自分は、その膨大な選択の結果であり、集大成です。
等身大の自分を受け入れるとは、この選択責任を自覚する、ということでもあります。

4.自分の価値観に沿った生き方をし「人と比べない」

上記1~3は、その習慣が身についていない人には、少々大変かもしれません。いずれも「ルンルンで楽しい」「楽ちんなこと」ではないからです。

そしてこれらのことをやり遂げるエネルギーになるのが、「自分の価値観に沿った生き方をしている実感」「自分が大事だと思うことを大事にできている実感」です。

価値観はその人のアイデンティティの土台です。その人の価値観に沿った生き方ができていない時、人は自分の本心を押し殺し、とても苦しくなります。

例えて言うなら「無私の精神で奉仕することが喜び」の人が「どんな手を使ってでも利益を増やすことが最優先する企業」に就職すると、とても自分らしくいられなくなる、と言ったことです。

そして「自分が大事だと思うことを大事にできている生き方」に自信が持てると、能力や環境(年収や社会的地位など)とは無関係に、心の内側から充足感に満たされます。結果、他人と比べることをしなくなります。

このことも「等身大の自分でOK」と心から感じるために、大変重要なことです。

人と比べる人、比べない人の意識の差はどこにあるか

私たちは皆、天使でもなければ、ウルトラマンでもない

上記の1~4を意識的に生きると、自分は決して天使ではないし(どろどろとした感情が内心渦巻くことも少なくないし)、ウルトラマンでもない(ちょっとした「嫌なこと」をすぐ先延ばしにするし)ことが、明らかになっていくでしょう。

ただこれを、自覚すればするほど、それを受け止める「もう一人の自分」が育っていきますので、結果的に不適切な行動化と身体化(体の症状に出ること、倦怠感、肩こり、やる気が起きないなど)が減っていきます。

人の悩みの多くは、この不適切な行動化と身体化です。私たちはどんな自分であれ、これらが避けられれば、相当にましなのです。

これが実感できると、「ああ、このままの自分で十分なんだ」と人から言われなくても思えるようになります。

人は何故自分/他人いじめをするのか 幼児的万能感から自尊感情へ

当Pradoが「夢」よりも重要視していること

当Pradoの心理セラピーでは、目標設定を重要視します。

人は悩んでいる時、欲しいもの(目標)ではなく、欲しくないもの(問題)にはまり込んでいます。この状態では、その問題から抜け出すことはできません。

しかしいきなり「その問題の代わりに欲しいものは何ですか?」と尋ねて(いわゆる「型どおり」のコーチングでよくある質問ですが)、すぐに心から欲しいものが答えられたら、誰も何も悩みはしません。

クライアント様が何を感じ、何に傷ついているのかを通して、少しずつ、あらゆる角度から「本心からの望み」を引き出していくこと。私の日々の修練はそのためのものです。

初回セッションの前に「セッション完了後にどのような自分になっていたいか」を考えて持ってきて頂きますが、これは脳にあらかじめ方向付けをしておいて頂く、いわば準備運動のような役割です(ですので、できる範囲で十分ですし、それも難しく感じることがあっても自然なことです)。

そしてこの「本心からの望み」は「起業したい」「結婚したい」「年収を上げたい」といった「夢」とは性質が異なるものです。

ですから、愚痴や恨みつらみは、単なるお慰めのためではなく、その方の「本心からの望み」に至るための小道です。

ただ、この小道は平坦な一本道ではありません。曲がりくねっていたり、アップダウンや思わぬ袋小路に出くわすことも少なくありません。

そしてなお、この望みは実はまた「お題」に過ぎないのも事実です。

その望みがかなうことよりも、更に、はるかに重要視していることは、そのお題を通じて「その後の人生をずっと、等身大の、あるがままの自分を受け入れ、決していじめず、認め、励まして生きること」なのです。

無料ステップメール「自分を大切にする7日間のレッスン」

自尊感情を高めるとは、自分を大切にすることと言い換えても良いでしょう。
「でも、具体的に何から始めたらいいの・・・?」の声にお応えして7日間のレッスンにまとめました。

《レッスンの一例》

● 体の声は心の声・体の状態に耳を傾ける
● 望まない人間関係に心の中で「No」を言う
● 「今・ここ」を生きるための自分への質問

Pradoの心理セラピー・セッションでお伝えしている内容を含んでいます。

どんな自分も否定せず、そのまま見て、耳を傾けることで「生きやすさ」は増していきます。
自分を大切にすることで、打たれ強く、柔軟で、ぶれない心を・・・!

 

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