等身大の自分を受け入れることの重要性とその4つの方法

「夢を語るだけ」「文句を言うだけ」で行動に移さないのなら、要注意

「夢を語る」のはそれこそ夢があって、前向きに生きているような印象を受けます。しかし、自分でも他人でも、夢を語るばかりで一向に行動に移そうとしないのなら、要注意です。

例えば「起業したい」「独立してこれこれをやりたい」と語る人は多くても、実際に起業に踏み切る人はほんの一握りです。
起業する人は「あるお金で始める」ものですし、周りがどんなに反対しようと「やむにやまれぬ思い」で始めます。また「能力に自信がつくのを待って」起業する人はいません。どんな人も常に途上です。

起業しない人は、本当のところは「起業したくない」のです。

「え!?『起業したい』って言ってるじゃない!?」

・・・その人たちが本当に欲しいのは「起業」ではなく、「起業を夢見ている自分」なのです。

これは「ダイエット」「婚活」「留学」「資格取得」「事業拡大」「俺は天下を取る!」などでも同じです。

どんなに小さくても現実の行動に移そうとしなければ、実際には「やりたくない」のです。

これは「配偶者への不満を延々と話すが、関係修復も離婚も『する氣がない』」「自分はダメだ、ダメだを繰り返すだけで、その自分を受け入れることも、何かを改善しようとしない」も同じです。

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「自分はダメだ」も「夢だけ語る」も「今の自分は『本当の自分』ではない」

今現在の、等身大の自分を受け入れられないと、その自分から目をそらそうとして「夢を語る」ことがあります。

受け入れがたい今の自分は「本当の自分」ではない、「本当の自分」はどこか別のところにある、と思いたがる状態で、これこそが自己虐待です。

ある心理実験で、二つのグループの片方には、ファストフードのサラダの写真が載っているメニューを、もう片方には載っていないメニューを見せたところ、サラダが載っているメニューを見たグループの方が、高カロリーのものを頼む割合が多かった、というものがあります。

脳はサラダの写真を「見た」だけなのに、「自分は健康に氣を遣っている、だから高カロリーのものを食べても大丈夫」と自分で自分を騙してしまうのです。

これが、実際には何もしなくても、健康番組を見ただけで「自分は健康に対する意識が高い」と思い込んだり、セミナーを受講しただけで勉強したような氣分になったり、ということが起こる理由です。お勉強好きな人が陥りやすい罠なので、要注意です。

夢を語っているだけで、現実には何の行動もしていないのに、脳は「夢の自分」が現実の自分のように勘違いをしてしまう、こうしたからくりがあります。愚痴だけ言って悲劇のヒロインになっているのも全く同じです。

そして現実の行動に移すと、その途端に「思ったようにはうまくいかない」自分を目の当たりにします。

夢を現実のものにする、もしくは問題解決するには、この「すぐにはうまくいかない」自分を投げ出さない、自分への忍耐と愛情が不可欠です。この忍耐と愛情が不足していると、「夢を語るだけ」「文句を言うだけ」の現実逃避をまたしてしまいます。

目標達成や問題解決能力と等身大の自分を受け入れることはコインの裏表

人は夢や目標を達成したら、実現したら(ダイエットに成功したら、年収がいくらになったら、試験に合格したら、試合に勝ったら)、自信が持てると考えがちですが、真実は逆です。

今現在の、等身大の自分を受け入れ、認め、卑下したりいじめたりせず、愛し、励ますから目標が達成できるのです。これは体の病気や心の悩みなどの問題解決でも同じです。

TEDのプレゼンテーションや著書「奇跡の脳」で有名な、脳科学者のジル・ボルト・テイラー博士は、37歳の時に脳卒中に倒れました。

左脳に血の塊ができ、それを摘出するという大手術を受けました。彼女は言葉や過去の記憶を失い、母親のことさえわからなくなってしまいました。

ジルの奇跡的な復活をたどったドキュメンタリーがNHKで先日放映され、大変興味深く見ました。

麻痺した左脳の一部は、数字の概念をつかさどるところで、当初彼女は「8」という数字の形がわかっても、それが何を意味するのか理解できなくなってしまいました。

番組の中で、母親のジジがジルに「5分の3はいくつ?」と尋ね、ジルがしばらく答えられなかったシーンがありました。ややあって「0.6ね。分数は難しいのよ」と答えていました。

ジルはその自分でOKなのだ、と自分を受け入れているから、奇跡の復活を成し遂げたのだ、とその時私は直観しました。

「かつては難しい数式を扱っていた脳科学者だったのに、今は簡単な分数でさえわからないなんて、ああ自分は情けない」などと決して思わないのです。

人がよく陥りがちな思考ですが、ただでさえ辛い肉体に、そのような鞭打ち方をしていては、体は、潜在意識は、脳は、決して応えてはくれません。

Jill Bolte Taylor got a research opportunity few brain scien…

今現在の、等身大の自分を受け入れるための4つの方法

それでは、今現在の、等身大の自分を受け入れるために、何をしたらいいのでしょうか?何から始めたらいいのでしょうか?

等身大の自分を受け入れている人たちが、必ずやっている、最大公約数的な4つの方法を以下に挙げます。

1.ネガティブな感情を受け止める

まずこれが基本のキです。自分の中の、認めたくないネガティブな感情を否定せず、もう一人の自分が「一体何が嫌だったの?」とジャッジせずに受け止める習慣です。

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自分の中のどんな感情もOKだ、ということです。ネガティブな感情を感じることと、それを不適切な行動化(暴言や誹謗中傷、八つ当たりなど)に出すことは別です。

等身大の自分とは、本音の自分です。そして自分の本音はしばしば「見栄えが悪い」(「本当はやりたくない」「あの人が嫌い」「妬ましい」等)ものです。

見栄えの悪い感情を受け止められないからこそ、その自分から目をそらすために、行動に移さない夢を語って、或いは、解決する気のない問題を延々と愚痴って、現実逃避してしまいます。

2.言行一致「言ったことはやる」「やりもしないことは言わない」

「行動に移さない夢を語る」の逆をやる、ということです。

言行一致すればするほど、「自分の言葉は真実であり、現実化する」という暗示を、潜在意識に入れることができます。

言行一致に関して、以下の記事に詳述しましたのでご参考にして下さい。

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3.全てのことは「何かと何かを天秤にかけて、自分が選んでいる」

私たちは意識的にせよ無意識的にせよ、必ず「何かと何かを天秤にかけて、自分が選んで」います。

「そんなことない!あんな理不尽なことをしたあの人が悪い!」

・・・理不尽なことをした道義的責任はあの人にありますが、それをどう受け止め、反応し、対処したかは自分の領域です。

上記のジル・ボルト・テイラー博士も、脳卒中は不慮の出来事で、彼女の責任ではないかもしれません。しかしそれにどう向き合うかは、ジルにしか決められないことでした。

勿論子供のころや、経験や知識が未熟な若いころは、どうしたって選択肢が少なくなります。その頃の「選択肢の少なさ」は自分の責任ではありません。

しかし、その少ない選択肢の中から、「よりましなもの」(極端に言えば「死ぬよりかはましなもの」)を無意識ではあっても選んできました。

言い方を換えれば「常にその時のベストを尽くしていた」のです。「あの時、ああすればよかった、こうすればよかった」を後悔と言いますが、これは後づけの知恵に過ぎません。

今日の、今の自分は、その膨大な選択の結果であり、集大成です。その意味においては、大人は今の自分のありように、何の言い訳もできません。
等身大の自分を受け入れるとは、この選択責任を自覚する、ということでもあります。

4.「大事なことを大事にしているか」そして「人と比べない」

上記1~3は、その習慣が身についていない人には、少々大変かもしれません。いずれも「ルンルンで楽しい」「楽ちんなこと」ではないからです。

そしてこれらのことをやり遂げるエネルギーが、「大事なことを大事にしているか」の問いです。この問いは、自尊感情が高い人が必ず自分にし、低い人は決してやりません。

大事なこととは価値観です。価値観はその人のアイデンティティの土台です。その人の価値観に沿った生き方ができていない時、人は自分の本心を押し殺し、とても苦しくなります。

例えて言うなら「無私の精神で奉仕することが喜び」の人が「どんな手を使ってでも利益を増やすことが最優先する企業」に就職すると、とても自分らしくいられなくなる、と言ったことです。

そして「大事なことを大事にしている生き方」に自信が持てると、能力や環境(年収や社会的地位など)とは無関係に、心の内側から充足感に満たされます。結果、他人と比べることをしなくなります。

当Pradoが「夢」よりも重要視していること

当Pradoの心理セラピーでは、目標設定を重要視します。

人は悩んでいる時、欲しいもの(目標)ではなく、欲しくないもの(問題)にはまり込んでいます。この状態では、その問題から抜け出すことはできません。

しかしいきなり「その問題の代わりに欲しいものは何ですか?」と尋ねて(いわゆる「型どおり」のコーチングでよくある質問ですが)、すぐに心から欲しいものが答えられたら、誰も何も悩みはしません。

クライアント様が何を感じ、何に傷ついているのかを通して、少しずつ、あらゆる角度から「本心からの望み」を引き出していくこと。私の日々の修練はそのためのものです。

そしてこの「本心からの望み」は「起業したい」「結婚したい」「年収を上げたい」といった「夢」とは性質が異なるものです。これらは結果に過ぎません。

本心からの望みとは、「この世でただ一人きりの自分が、一回きりの人生を大切に生きている実感」「悔いなく、その人なりの納得のいく生き方をしている実感」、すなわち「かけがえのなさ」を感じているか、ということです。そしてその形は、千差万別です。

単に「自信がつく」とか「いじめに遭わない」よりも、更に、はるかに重要視していることは、「どんな状況に置かれても、その後の人生をずっと、等身大の、あるがままの自分を受け入れ、決していじめず、認め、励まして生きること」なのです。

【音声版・自尊感情を高める習慣・6回コース】

1回約20分、6回コースの音声教材です。

第1回 自尊感情とは何か。何故大事か
第2回 全ての感情を受け止め、否定しないことの重要性
第3回 「何が嫌だったか」を自分に質問する。目的語を補う
第4回 期待通りに成らない現実を受け入れざるを得ない時
第5回 小さな一歩を踏み出す・最低限のラインを決める
第6回 人生が変わるのは知識ではなく氣づき

第1回目は無料で提供しています。まず一週間、毎日聴き、ワークに取り組んでみて下さい。その後更に日常の中で実践してみたくなったら、6回分の音声教材(税込5500円)をご購入下さい。

🔗第1回・要約・氣づきメモ

6回分ご購入をご希望の方は、以下のフォームよりお申し込み下さい。

    弊社よりメールにて、振込先口座をご連絡します。振込み手数料はお客様負担になります。入金確認後、6回分の音声教材とPDFが表示される限定公開のURLとパスワードをメールにてお送りします。

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    生きづらい貴方へ

    自尊感情(self-esteem)とは「かけがえのなさ」。そのままの自分で、かけがえがないと思えてこそ、自分も他人も大切にできます。自尊感情を高め、人と比べない、自分にダメ出ししない、依存も支配も執着も、しない、させない、されない自分に。