スマホ・ゲーム・インターネットという「時間泥棒」
ひと昔前ならテレビ、今はスマホ、ゲーム、インターネットがいつの間にか私たちの時間を奪い取っていきます。
誰にとっても一日は24時間しかないのに、何となくだらだらとこうしたことに時間を潰してしまう、そして毎日がどんどん過ぎていく・・・このことに悩まずに済んでいる人は、人生を支配していると言っても良いでしょう。
私たちの命は、時間でできています。
人様をお待たせするのが無礼なのは、その間、その人の人生の時間を奪い取っている、もっと言えば殺人と同じだからです。
しかし、15分人に待たされるとイライラするのに、それ以上の時間を、スマホ・ゲーム・インターネットという「時間泥棒」に自分から差し出している、こうしたことを少しでも減らしたい人のための、考えるヒントです。
緊急中毒の悪循環
時間管理についてよく言われるのは、重要度×緊急度のマトリックスでやるべき行動の優先順位をつけることです。
下の図の縦軸が重要度、横軸が緊急度です。
緊急度が高いものとは、締め切りや相手との約束など、自分では決められないことに拘束されています。ですので、わかりやすいものでしょう。
重要度の方が、かなり意識しないと客観的な判断を下しにくいものです。だからこそ、「本当にやるべきこと」から逃げてしまいがちです。そして人は、なんとでも言い訳をします。
或る程度責任のある立場の人なら、「それは他の人にやってもらえることか?」と自問すると、重要度が測りやすいでしょう。他の人に任せても良いことは、重要度が低いものになります。
そしてまた、皆「重要度・高×緊急度・高」ことはやるのです。例えて言うならこの領域は「サイレンが鳴っている」領域だからです。
これに振り回されると「緊急中毒」になり、疲弊します。毎日が「鳴りっぱなしのサイレン」をどうにかすることに明け暮れているのなら、疲弊しても当然です。
そして疲弊すると「重要度・低×緊急度・低」の領域に逃避してしまいます。もう重要度の高いことをするエネルギーが残っていないからです。重要度の高いことほど、エネルギーが要ります。
「重要度・高×緊急度・低」の領域、即ち予防や準備に時間とエネルギーが割けないと、また「重要度・高×緊急度・高」の領域が増える、つまりまたサイレンが鳴ります。これが緊急中毒の悪循環になります。
「重要度・高×緊急度・低」を前もって計画しても
サイレンが鳴っている「重要度・高×緊急度・高」に振り回され、疲弊してしまわないためには、「重要度・高×緊急度・低」の行動を前もってどれだけ増やせるかが鍵になります。
「重要度・高×緊急度・低」とは、予防や準備に関することです。
本番が始まる前に、どれくらい準備が出来ているかで、既に結果は或る程度決まっています。
また、いつやってくるかわからないチャンスをつかむためにも、どれだけ準備が出来ているかが重要です。
人生がうまくいく/いかないは、この予防・準備という、かなり地道でコツコツとした、つい後回しにしがちな努力にかかっている、と言っても過言ではありません。
・・・だから、「重要度・高×緊急度・低」の行動を前もって計画しましょう、手帳に書き込んでおきましょうと教わって、バーチカルタイプ(縦型)の手帳を買った人も少なくないでしょう。
しかし恐らく、このページを読んでいる人の多くは「バーチカルタイプの手帳を買ってはみたものの・・・」「一度はやろうとしたものの・・・」になってしまったのではないかと思います。
これを実践できていれば、既に時間管理で悩んではいないはずだからです。
人には様々なタイプがあり、手帳にきっちりと計画を立て、その通りにすることが気持ち良い、計画通りにできないと不快を感じる人もいます。
一方で、きっちりと計画を立ててしまうと、何だか息が詰まる。その日最低限やるべきことはやるけれど、それ以外のことは、その時のひらめきに従った方が上手く行く、という人もいます。
これはどちらがどう、ということではありません。ただ違う、ということです。
人間は機械ではありません。ふと思いついてやってみたことが、思いがけず人生を新たに切り開いたという経験がある人も多いでしょう。そしてこの「ふと思いつく」はいつやってくるかわかりません。
「重要度・高×緊急度・低」は意識しないとできない、習慣化されるまでは
ただそうは言っても、やはり「重要度・高×緊急度・低」の行動を増やすことの重要性は変わりません。
そしてこの「重要度・高×緊急度・低」は、習慣化されていない限り、意識しないとできません。緊急度の高いことは「降ってわいてくる」ものですが、重要度が高いことほど自分から取り組もうとしない限り、永遠にやることはありません。
重要度が高いものほどエネルギーが要り、また緊急度という「外からの拘束」がないので、好きなこと以外は「まあ、いいか」と先延ばしになりがちです。
だからこそ、世の中の多くの人が、「わかってるんだけど・・・」と予防や準備をなおざりにし、結果的に緊急中毒に陥り、疲弊し、「重要度・低×緊急度・低」の現実逃避をして、またサイレンが鳴り、の悪循環の陥ってしまいます。
習慣化してしまえば、「やらない方が気持ち悪い」になります。しかしまた、どんな小さなことでも習慣化するまでは、それなりの時間と努力が必要です。ここでもまたエネルギーが必要です。
逆転の発想「今やっていることは『重要度×緊急度』のどこに位置するか」
ですので、「きっちり計画を立てると息が詰まる。どうしても苦手。しかし緊急中毒はもういやだ」であるなら、発想の転換が必要になります。
きっちりと計画を立てなくても良いから、「今やっていることは『重要度×緊急度』のどこに位置するか」を常に自分に問う、この習慣をつけてみましょう。
「重要度×緊急度」のマトリックスを、左右どちらでもやりやすい方で、斜め上にあるとイメージします。真正面もよりも、斜め上の方がイメージしやすいでしょう。
そして今やっている行動は、このマトリックスのイメージのどこに当てはまるか、印をつけていく(図のように♡や☆など何でも構いません)と、自然に「重要度・低×緊急度・低」が減り、「重要度・高×緊急度・低」が増えてきます。
時間の経過とともに「重要度・高×緊急度高」のサイレンが鳴らなくなっていることに気づくでしょう。
人間疲れた時は、リラックス、リフレッシュも必要です。これがダラダラとした現実逃避(「重要度・低×緊急度・低」)ではなく、健康的で建設的な、リラックス、リフレッシュにすれば「重要度・高×緊急度・低」になります。
ゲームやインターネットが即現実逃避になるわけではなく、とりとめもなくダラダラやると「重要度・低×緊急度・低」の領域になります。リフレッシュという目的意識を持ち、「重要度・高×緊急度・低」の領域に入れようとすると、或る程度の時間で切り上げやすくなります。
また嫌なことがあった時、誰かに話を聞いてもらうこともあるでしょう。
その時も単なる「悪口、誹謗中傷」(「重要度・低×緊急度・低」)だけに終わらせず、「一旦気持ちを吐き出した後、次はどうするかにつなげる」という目的意識を持てば、「重要度・高×緊急度・低」の大切な学び・気づきになります。
そしてちょっとした隙間時間に、「重要度・高×緊急度・低」をやっていくこともできます。コミュニケーションなどはその最たるものでしょう。部下や家族と、長時間の会話はできなくても、ちょっと様子を見に行く、これも立派なコミュニケーションです。
こうして日々の行動が結果的に、「重要度・高×緊急度・低」の領域が増えていけば、前もってきっちり計画を立ててなくてもいいのです。
「重要度・低×緊急度・低」を0にはできない、それが人間
また、この「重要度×緊急度」のマトリックスは、4つのどれかを拡げる努力はできても、何かを完全になくすことはできません。
私たち人間は神ならざる身です。時には「重要度・低×緊急度・低」ことをやる時もあります。
常日頃は健康に気を配っていても、カップめんやジャンクフードを、時には「食べたくなる」こともあるように。
それもまた人間の顔の一つです。
そして増えっぱなしにせず、出来るだけ減らす努力をするのと同時に、「人間、そういう時もある」と受け入れることそのものが「重要度・高×緊急度・低」の領域になるでしょう。
(スティーブン・R・コヴィー「7つの習慣 最優先事項 『人生の選択』と時間の原則」キングベアー出版 を参考にし、応用しました)