SNSでのリア充自慢とは
facebookや、最近ではinstagramなどでのリア充自慢ー実際の生活の充実ぶりを自慢することーに辟易したり、或いは自分の生活と比べて落ち込んだりする人が少なくないようです。
リア充自慢をもう少し説明すると、
「レストランでの食べ物の写真」
「食事会、飲み会、バーベキューで友人たちと盛り上がっている写真」
「『今日はどこそこへ出張です!』のコメントと新幹線や空港の写真」
「ハワイでのバカンスの写真」
等々をUPして、「人がうらやむような」生活を私はしているんですよ、とアピールすることです。
本当のセレブは、このようなはしたないことはしません。
また、こうしたことは彼らにとっては「さほど珍しくないこと」なので、ことさらに自慢するほどのことでもないでしょう。
芸能人が、SNSやブログでプライベートを公開するのは、ファンサービスの一環です。芸能人は夢を売るのが仕事で、自慢がしたいからではありません。
また、ストーカー被害を避けるため、何でも無防備にUPしたりはしません。場合によっては、事務所のチェックが入っていることでしょう。
また、政治家は有権者の支持を獲得するために、日々の活動をUPして、SNSを使いこなしています。その際、政治の記事ばかりでは窮屈になるので、時折プライベートの写真を混ぜたりします。硬軟取り混ぜるのも戦略の内です。
しかし賢い政治家は、いわゆる「リア充自慢」をしたら、有権者がそっぽを向くことを熟知しています。高級レストランでの会食風景ではなく、私たち庶民と同じような生活ぶりを見せて、親近感を持ってもらおうとしています。
ですので、芸能人や政治家もそうですし、一流と言われる人たちほど、SNSでリア充自慢はしていません。
「はしたないから」という品位の他に、それをしないことが自分自身のためにもなると、直観的にわかっているからです。
経営者の恐怖と孤独
少し話はそれますが、経営者ならではの恐怖と孤独について、触れておきます。
経営者の孤独は、雇われの身とは性質が違うものです。勿論、雇われの身の大変さは大変さとしてあります。どちらがどうではなく、違う、ということです。
「従業員が辞めてしまうかもしれない」
「新商品が大コケするかもしれない」
「売掛金が回収できないかもしれない」
「銀行がお金を貸してくれないかもしれない」
・・・つまり「自分の決断のミスで、ある日突然、会社がなくなるかもしれない」恐怖が経営者にはあります。それと向き合っているかどうかは別として。
仮に人望がある経営者で、どんなに人から尊敬され慕われていても、そのことでこの恐怖と孤独は解消できるものではありません。
雇われの身では、経営者ほど切実に「ある日突然、会社がなくなるかもしれない」恐怖を、常には感じていないでしょう。そしてそれが当然です。
これは経営者に限らず、アスリート、作家、芸術家、芸能人など「未来が保証されていない」職種の人は、すべて同じでしょう。
恐怖や孤独と向き合ってこそ一人前
ただし、これらの恐怖や孤独は、それを感じ、向き合ってこそ一人前です。
いつも誰かとつるんで、取り巻きにちやほやされて喜んで、恐怖や孤独から逃げることに終始しているような経営者やアスリート、作家、芸術家。
そういう人たちで、さすがと思えるような人を、思い浮かべることができるでしょうか・・・?
覚悟とは、これらの恐怖や孤独をエネルギーに変えることです。
トップに立つ人は孤独、とよく言われます。逆から言えば、孤独になれない人は、トップに立てません。どんなに才能があり、努力しているつもりでも。
また、仕事が何であれ、或いは仕事をしてなかったとしても、恐怖と孤独を引き受けて生きている人は、人間のあり方としてトップに立てている、つまり一流の人と言って良いでしょう。
一流のあり方とは、有名無名、社会的地位の高い低いとは必ずしもリンクしません。病床で寝た切りの人の中にも、一流の人はいます。
恐怖や孤独を「圧縮」してエネルギーに
トップに立つ人は、恐怖や孤独をちやほやなどの安易な方法で解消しないのは、これらをエネルギーに変えているからです。
ちやほやなどの低いレベルで、恐怖と孤独を癒し、解消してしまっては、エネルギーが洩れてしまいます。
どういうことかと言うと、ゴムホースで水を飛ばそうとするとき、わざとホースの先を指でつぶして、口を狭くします。そうすると水圧がかかり、エネルギーが強くなって遠くまで水が飛びます。水圧とはエネルギーのことです。
ゴムホースに途中で穴が開いていたら、水が漏れてしまって水圧が下がり、遠くまで水を飛ばせません。
そして恐怖や孤独が強ければ強いほど、それはエネルギーも強いということです。水圧が強くなるのと同じです。エネルギーが強くなればなるほど、遠くまで、つまり高い次元まで到達することができます。
ちやほやされることで、恐怖と孤独を癒そうとするのは、ゴムホースの途中から水を漏らしてしまうのと一緒です。
本当は、ちやほやなどでこの孤独と恐怖が解決するわけはありません。一時しのぎをして、目をそらしているに過ぎません。しかし、「癒された気分」と引き換えに、ゴムホースの途中からエネルギーは漏れてしまいます。
トップとしての責任を果たすこと以外に、この孤独と恐怖が癒されることは、本当はありません。
リア充自慢をしないのは、他人への思いやり、慎み、エネルギーの「圧縮」のため
承認欲求もそうです。彼らも生身の人間ですから、承認欲求はあります。
しかし、SNSで自慢したり、ちやほやされたりなどの低いレベルで承認欲求を満たしてしまっては、ホースの途中から水が漏れるのと一緒です。
顧客の支持を得ること、競合に勝つこと、自社のブランドが高まること等、ずっと高いレベルで承認欲求を満たしてこその、経営者としてのトップのあり方です。
これは作家や芸術家が、作品で評価を得るとか、アスリートが試合に勝つなどのケースも同じです。
承認欲求を、低いレベルで満足させ、エネルギーのダダ洩らしにしないのです。
恐怖や孤独の解消と同様、承認欲求も高いレベルで満足させるために、エネルギーとして溜め、圧縮します。ゴムホースで遠くまで水を飛ばす水圧を掛けます。
また一流の人ほどリア充自慢をしないのは、他人に不快な思いをさせない思いやり、品位、慎みのためもあります。慎みある態度は、力のない人には取れません。そしてまた、本当に優れた態度ほど目立たず、それを見抜ける人にしかわかりません。「名将は名将を知る」「名人は名人を知る」と言われる所以です。
裏から言えば、「本当の力を養うためにこそ」自慢はしないのです。お国自慢などの誰もがほほえましく思えること以外の自慢をうっかりすると、「本当の力が養われない。失われる」と直観しています。
「自分をより高いレベルで満足させたい」これが自尊感情が高まったときの心のあり方です。自分を大切にすればこそです。大切な人には、ジャンクフードだけあてがっておけばいいや、にはならないのと同じです。
そして思いやり、品位、慎みも、自尊感情の中身です。自尊感情が高くなると、自然と自慢めいたことをする必要がなくなります。そしてまた結果的に、自慢めいたことをしない、思いやりと品位、慎みのある人が自分に集まってきます。
豊かな人間関係を自分が築いているかは、SNSでのリア充自慢をするかしないか、などといったことにも表れています。