脳は「慣れたことを繰り返したい」望む感情を先に感じる瞑想

「○○になれば/○○がなくなれば、安心できる」と思いがちだけれど

人間の三大悩みは、お金、健康、人間関係と言われます。そしてこれらのいずれか、もしくは複数に悩みがあると、人は「お金さえ充分に入れば/この辛い症状がなくなれば/嫌な○○さんが目の前からいなくなってくれれば」と困った、嫌なことを排除したいと考えがちです。

特に人間関係においては、嫌な○○さんとの関係が切れたとしても、自分の中に納得のいかなさ、理不尽さ、悔しさの感情が解消しきれないと、ついつい「もう、すんだことなのに」、何度でも頭をよぎってしまうものでしょう。

悔しさや怒りは、しっかり感じ切って外に出す必要があります。自分が不当に、いいように利用された怒りは、きちんと感じないと、他の人とまた同じことを繰り返してしまいます。「No」を言える境界線のためには、境界線を侵された時の嫌悪感や違和感を、自分に許可しておく必要があるのです。

未解消の感情を癒し、傷ついた自尊心を回復し、同じ轍を踏まないためのあり方やスキルを身に着ける、これについては、当サイトの中で、あらゆる角度から記事にしています。

しかしただただ、「嫌なことが取り除かれる」ことだけが人生の目的になるなら、やはりそれは状況の犠牲者のあり方です。

何故「不幸好き」の人がいなくならないのかと言えば、幸福は時として退屈であり、不断の心がけというかなり地味な努力が要るからです。人間は刺激がないと生きて行けません。不幸でいた方が、刺激がある上に、誰かや何かのせいにしておける、責任逃れができてしまいます。勿論、これはただのエゴでしかありません。

過去の未解消の感情やトラウマを癒した先の自分とは

ですので、過去の未解消の感情やトラウマを癒した後、どのような自分になっていたいのか、どのような人生が送れれば、誰が何を言おうと「私はこの世に生を受けて良かった」と言えるのか、その先の自分だけの幸福とは何かを考えることがとても大切です。

これをしないと、何かの悩みが解消したとしても、退屈しのぎのために、また別の悩みを自分から引き寄せてしまいかねません。

今の悩みを解決し、乗り越え、以前よりも成熟した大人になったのちに、どのような人生を送りたいでしょうか・・・?その自分は毎日、どのような感情に満たされて、日々を過ごしているでしょうか・・・?

たぶんこのようなことを考えている人は少ないでしょう。考える間もなく、多忙や、お手軽な楽しみが洪水のように押し寄せて、肝心の自分自身をいともたやすく見失う、その危険性を誰かが指摘してくれることはありません。

感情と体の状態が望ましい自分になってから現実が変わる

上記の問いの答えは、例えば、平和、安らぎ、愛、思いやり、豊かさ、感謝などになるでしょう。「平和に満ちた人生を送りたい」ただ、この望みは、言葉にするだけでは足りません。言葉はまだ頭だけの領域です。

平和なら平和の状態を、心の感情と、そして体が感じ切っていることが大切です。

ある人が言葉では「私は平和に満ちています」と言っても、眉間にしわを寄せ、口はへの字に曲がり、肩を落とし、背中を丸めて言っていたらどうでしょうか?何の説得力もありません。その体から発せられるのは、例えば失意、不安、不満、悲しみなどになるでしょう。そしてそれらの失意、不安、不満、悲しみを証明する現実が引き寄せられます。潜在意識は「ほらね、やっぱり」を証明したがるのです。

穏やかに落ち着いた表情で、体は真っ直ぐに伸ばしていながら、余計な力は抜けていて、リラックスした状態であれば「この人は本当に平和を生きているんだ」と感じられるでしょう。そして平和な現実が引き寄せられます。何らかのトラブルに見舞われることがあっても、それを乗り越えて、また平和な状態に戻っていきます。

私たちは、「困った嫌なことがなくなれば、平和になれる」と思いがちですが、順序は逆です。平和運動に取り組んでいる人達が、常に戦闘態勢でピリピリしていたら、どうでしょうか?「この人達がとても平和を実現できるとは思えない」が自然な感想でしょう。平和を実現したいなら、まず自分自身が平和の状態になるところから始める必要があるのです。

脳は「慣れたことを繰り返したい」だから毎日の練習・習慣化が重要

これまでの人生が、心の休まるものではなかったり、何かを手に入れるためには苦労しなければならない、と思い込んできた人は、不安や、疲労感、報われなさ、焦燥感を感じ続けてきたかもしれません。育った家庭の雰囲氣が、暗かったり、安心や幸福を感じられなかったりすると、私たちは「人生はこうしたもの」と刷り込まれてしまいます。

休みの日に憂さ晴らしはしても、すぐに元の感情状態に戻ってしまっていたでしょう。

脳は「どんなに破滅的なことであっても、慣れたことを繰り返したい」特性が万人にあります。

慣れたことを繰り返す方が、脳にとっては省エネになります。人間の脳は、成人であれば一日約400kcalを消費します。頭脳労働者は「太っている暇がない」のはこうしたことです。一方で、人間を含む動物は、皆飢餓に備えるために省エネモードになっています。使わない筋肉がすぐに衰えるのもこのためです。脳の省エネのために行うことの一つが「慣れたことを繰り返したい」なのです。

ですので、本当はもう感じたくない、感じる必要のない不安、怒り、悲しみ、焦燥感などを、毎朝目覚めるたびに感じているのなら「慣れたことを繰り返したい」を脳がやってしまっているかもしれません。

望む心の状態に先になる瞑想の習慣

私たちは「過去がこれこれだから、今後の未来もこれこれだろう」と予測しがちです。しかし、現実はそうではありません。社会の意識の変化は大変早いです。5年前、10年前とは違っています。自分の生まれ育った家庭が、幸福ではなかった、親から巧妙に自尊心を傷つけられ、惨めだったとしても、その心の傷を癒し、自分から幸福な人生を生きることは誰にとっても可能です。

以下に説明する瞑想は、「悩みの中から氣づきを得て、これまでとは違う選択ができるようになる」ことと両輪で取り組んでいただければと思います。悩みを無視したり、抑圧して、無理やりポジティブになろうとするのではありません。

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瞑想は単なるリラクゼーション以上の、未来の望ましい状態を先取りする、脳の訓練でもあるのです。

望ましい感情・心の状態を選ぶ

今の自分に、一番しっくりくるものを選びます。上記の例で挙げた平和、安らぎ、愛、思いやり、豊かさ、感謝、その他に赦し、手放し、自由、調和などから選んでも構いません。

そして選んだ言葉の裏に、恐れや不足、ネガティブなイメージ、或いは「与えられて当然」が潜んでいないか確認します。

例えば「豊かさ」の言葉の裏に「お金がないことの不安」が潜んでいないか、よく確かめてみます。これだと自分の本音の「お金がないことの不安」が実現されてしまいます。お金は豊かさの一部、一つのツールに過ぎません。不安からお金を貯めこむのではなく、お金を得て、どういう事柄に使い、循環し、互いに豊かに繁栄できる、とイメージ出来ることが大切です。

お金は支配の道具にもなり得ます。人をお金で支配するだけでなく、自分の心の空虚感の埋め合わせにお金を使っていれば、それは自分からお金の奴隷になっています。一時しのぎになっても、それは自立した真の幸福とは言えません。また「豊かさ=お金がたくさんあること」になっている場合、お金にネガティブなイメージがないかを掘り下げて確認します。

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豊かさとはお金やモノをたくさん持つことではなく、まず心が豊かで、それを周囲の人と分かち合い、結果として物心両面で豊かになっているとイメージできると、恐れではなく愛が動機になります。

また「愛」を選んだ場合でも、「愛されること」だけを望んでいるなら、「私には愛が不足している」がその裏に隠されています。お金と同様に、「愛し、愛されること」を心から望んでいるかどうかです。

お金でも愛でも、その願いの裏には、「与えられて当然」⇒「与えられていない私は、状況の被害者」が隠されていることがあります。これでは上手くいきません。状況の被害者ではなく、自分から望ましいあり方を実現する、現実の創造者になるための瞑想です。クレクレ星人になっていては、「不足」が実現してしまうのです。

体の内側に例:平和を感じ、外側にも平和が広がるとイメージする瞑想

記事下にサンプルの音声を貼付しています。このサンプルでは「平和」にしていますが、ご自身で選ばれた言葉に置き換えても構いません。

まず、体を真っ直ぐにして座り、目を閉じて2、3回深呼吸をします。自然に体の力が抜けるのを感じます。

そして「私は平和を感じています」「私は平和です」などと繰り返し、胸から体の内側へ、平和の状態が広がるとイメージします。

体の内側に広がったら、体の外側にも平和の状態がさざ波のように広がっていくとイメージします。その時、このさざ波が、キラキラと輝いているとイメージしても良いでしょう。

心と体が平和の状態を感じ切れたら、ゆっくり目を開けます。

一日の中で、この心の状態をできるだけ長く保つ

この瞑想をまず一日一回から始めます。但し「瞑想した時だけ平和だけれど、他の時間はずっと戦闘モード」・・では余り意味がありません。戦闘モードにならざるを得ないことも起きますが、一日の中で、できるだけ平和を心と体に感じさせる時間を増やす、このことの方が大切です。瞑想は最初のきっかけに過ぎません。

ですので、例えばトイレの中とか、デスクで仕事をしている人は、目を閉じられなくても、軽く目を伏せて、15秒とか30秒とかでも良いので、深呼吸をして「平和」を心と体で感じるのを、習慣づけて頂ければと思います。

特に意識しなくても、心と体から、平和の状態がにじみ出ている、その自分になると、人生が平和になっていく。そのための練習です。

最初は体に今までと違う状態を覚えさせるので、抵抗が起きるかもしれません。ゴルフのスイングを改良しようとしても、うっかりすると以前の癖が出てしまうようなものです。新たなスイングを「意識しなくても」できるようになるためには、相応の粘り強い練習が必要なのと同じです。

「瞑想が大事」と聞いていたけれど、中々習慣づけられなかった方に、その意義と、繰り返し練習する大切さが伝われば幸いです。

【音声版・境界線とは「No」を言うこと・流されない生き方のために】


【このような悩みを抱えている方へ】

・適切な「No」を言えるようになりたい。迎合したり、操作されたくない。自分の意志で人生を生きたい。
・流されてしまったことに後悔している人。「もうあんなことは繰り返したくない。自分の子や孫に、同じ過ちを犯してほしくない」「どうやったら流されずに、勇氣を持って断れるようになるのかを知りたい」

【音声教材を聴くことによって得られる効果】

・何故「No」を言うことが大事なのかが再確認でき、やりやすいところからチャレンジできる。
・「No」を言うために必要なこと、限界設定、責任、結果予測、選択肢を増やす等、「遅い思考」を鍛える意義がわかる。
・親に反抗できなかった人は、親(大人)の言いなり良い子になることをやめる決意ができる。自分と親の関係性を見直すきっかけにできる。
・日常の中で小さな「No」に躊躇しなくなり、「他人にどう思われるか」ではなく「自分がどうしたいか」「何が責任を果たすことなのか」で物事を取捨選択し、たとえ結果が思わしくなくても、「自分が選んだ」ことそのものに対しては自負を持てる。

【全6回のテーマ】

第1回  結果を負うのは自分しかいない。「No」を言わなければ「Yes」と言ったと見なされる (約17分・無料で公開します)

🔗第1回 要約・氣づきメモ

第2回 「No」を言いづらい時、何を恐れているのか (約17分)
第3回 「人は安心の名の下に自由を手放す」責任と結果予測 (約14分)
第4回  速い思考と遅い思考・現実を見ることと選択肢を広げること (約18分)
第5回  思春期の頃、親に対して「うるせえ!クソジジイ!クソババア!」と言えましたか? (約15分)
第6回  境界線の内側には良いもの、外側に悪いもの・境界線は真の自由と自立のために (約16分)

5500円(税込み)振込み手数料はお客様負担になります。

まず第1回を試しに聴いて頂き、ワークに取り組まれた後、「もっと勉強して実践したい」方は、以下のフォームにてお申込みくださいませ。
振込先の銀行口座をメールにてご案内します。お振込み確認後、URLとパスワードをメールにてお知らせいたします。

もし、お申し込み後2、3日経っても、弊社からのメールが届いていない場合は、受信メールのゴミ箱に入っていないかご確認くださいませ。
やはり届いていない場合は、大変お手数ですが、弊社へメールかお電話にてご連絡くださいませ。


    ※「音声版・自尊感情を高める習慣」のご案内は、こちらのリンクをご覧ください。
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