「面倒くさがりで楽がしたい」本能に逆らい行動に移す3つの工夫

先延ばしの二つの動機「恐れ」と「面倒くさい、楽がしたい」

人間というものは、何か問題が持ち上がった時に、いつでも「さあ、解決しよう!レッツゴー!」とすぐに行動に移せるわけではありません。

例えば、ダイエットひとつとっても、1kgでも太ったら仕事がなくなるプロのモデルでもない限り、
「わあ!太っちゃった!ダイエットしなきゃなぁ」
「でも、面倒くさいし、今日はいいや、明日からやろう」
・・・の先延ばしをを、何日も、時には何ヶ月も、何年も続けて、いよいよ
「このままじゃまずい!」
になった時にようやく腰を上げる、そんなものでしょう。つまりは、プロのモデルと比べてそれだけ「余裕がある」のです。

「これをやった方がいい」とわかっていても、中々行動に移せないのは、大きく分けて二つの理由があります。

一つは

「妬まれたらどうしよう」
「いやなお客さんが来たらどうしよう」
「失敗したら『ほら、言わんこっちゃない』と馬鹿にされたらどうしよう」

などの「恐れ」がある場合です。この恐れはその事柄によって千差万別です。

もう一つは単純に、「面倒がいや、楽がしたい」と思っている場合です。

違う結果が欲しい場合は、違う考え方や行動をする、それをしない限り同じことは続く、当たり前のことのようで、当たり前にはなっていないものの一つでしょう。

心理セラピーにおいても同様で、結果の出たクライアント様は、新たに得た氣づきを日常の小さな行動に移しています。これに例外はありません。

新たな行動はワクワクすることもある反面、「慣れたこと」から一歩を踏み出すので、面倒だと感じるのが人間の常でもあります。自分が好きではないこと、不得意なことなら尚更腰が上がらなくなりがちです。

今回は、千差万別の「恐れ」ではなく、誰にもある「楽がしたい」の方にフォーカスしていきます。

「楽が一番!省エネ、省エネ」は動物としての本能

ところで、野生動物たちは、 ライオンでもチーターでも彼らが動くのは

餌や水を得ようとする
繁殖行為
天敵から逃げる

ためであって、あとはたらーんたらーんしています。あとは子供同士がじゃれ合って、「これくらい噛んだら痛い」などの仲間内のルールを学ぶくらいです。

彼等は人間のように「同じたらたらするのでも あっちの方が景色がいいから、 あっちへ移動してたらたらしよう」なんてことはしません。彼らは「楽が一番!省エネ、省エネ」と言っているかのようです。

これは野生動物たちはいつ次の獲物が得られるかわからず、飢餓に備えなければならないため、省エネモードになっているからです。

人間も今でこそ飽食の時代ですが、日本では高度成長期以前は、ほとんどの人は「お腹いっぱい食べられることが夢」という毎日を過ごしていました。時代は変わっても、元々の省エネモードはそう変わりません。

しかし、人間はなまじ文明を発明したので、 たらたらして行動をしないと、 この文明社会の中では生きていけません。それと相反して、省エネモードのために楽をしたがる、この人間以前の、動物としての本能がかなり強力に私たちを引っ張っています。

「楽がしたい」は誰にでも起こる本能です。ですから「私は何て怠け者なんだ!」と自分を罰する必要はありません。そしてだからこそ、この本能に逆らう工夫がやはり必要になります。

以下は私の実践を通して得た、「楽がしたい」本能に逆らって行動に移す3つの工夫です。

工夫① 「これをサボり続けたら将来何が起きるか」を自分に質問する

ところで、人間の考えは放っておくと目先のことだけになりがちです。長期的視野を持つ方が意識的な努力と習慣が必要で、要は「目先のことだけ考える、行き当たりばったり」の方が、脳に負荷が掛からないのです。しかし、誰しもわかっているように「行き当たりばったり」で人生が上手くいくことはありません。

ですから敢えて、「これをサボったら将来どうなるか」と長期的なことを考える、その質問を自分にしてみます。

私自身の例ですが、私は元々運動がそれほど得意ではないため、意識しないと運動をしません。ですが、やはり健康維持のためには日々適度な運動はした方が良い、と頭ではわかっている口です。運動と言っても、近所を小一時間ほど歩いたり、ストレッチやスクワットをする程度のことです。

放っておくと言い訳してサボる、そして一日サボったくらいですぐ体調が悪化するわけではないのが、健康管理の難しいところでしょう。

ですから自分自身に「もし運動をしないまま、あと20年後、70代になったらどうなるか」を質問します。

「足腰や腹筋背筋が弱って、椅子に長時間座ってられなくなって、仕事ができなくなったら干上がってしまう!」・・・その頃潤沢な年金をもらえているとは思えませんし、他に私を養う人はいませんので、働ける体を維持しないと自分が死んでしまいます。

好き好んでは中々やらないことは、「それをやらなかったら将来どうなるか」の質問をすると「ヤバッ!」となり「問題を問題視する」フェーズに自分を入れることができます。

人が本気で変化を起こさないのは、冒頭のダイエットの例のように、結局は「問題を本音のところでは問題視していない」からなのです。

工夫② すぐにチェックできる「歯止め」を持つ

上記の①は、いつもいつも自分にする質問ではありません。最初に取り掛かる時、或いはしばらくサボってしまった時に再度自分を動機づけするためのものです。

ですから、しばらくするとまた何でも言い訳をしてサボろうとする自分が出てきます。「やらない言い訳」は何でも構わないのです。思い当たる節がある方も、少なくないでしょう。

日々の小さな歯止めがあると、「やっぱりやらなくっちゃ」になりやすいです。

これも私の運動の例ですが、毎朝起床時に体温を測るようにしています。私の運動の理由は健康維持のため、筋力をつけると共に、免疫力アップのためです。年齢と共に免疫力も下がるからです。

起床時の体温が36.5℃を超えることを目標にしています。免疫力の向上には体温が36.5℃~37℃であるのが望ましいからです。そして測った体温を手帳に記入しています。36.5℃を下回る日が続くと「やっぱりこれはまずい・・」と思い、面倒と思う氣持ちを振り払って歩いたり、スクワットをしたりの動機づけにしています。

私の場合は体温測定にしていますが、ダイエットが目的の場合は、体重計に乗るとか、ウエストを測るなどに置き換えられるでしょう。

この小さな歯止めは、こまめに、すぐできて、しかもお金がかからないことがお勧めです。お金がかかることは、やはり中々続かないからです。

工夫①と②は、自分で自分を鞭打つかのようですが、元々の目的が「より健康でいたい。歳をとっても元氣に働きたい」という前向きな理由であり、また誰に言われたわけでなく自分でやろうと思ったことですから、ただ自分を無闇に鞭打つことにはなりません。

ただその目的を達成する手段が、その人にとっては億劫に感じることも当然あります。元々の目的が「人生の選択肢の幅を広げる」ものであれば、それは「こういう自分でないと認めない、許さないから鞭打つ」にはなりません。

工夫③ 「30秒でやれる行動」に細分化

サッと行動に移せない人は、0か100か思考が強すぎる場合があります。脳はざっくり考え、単純化したがります。これも「楽をしたい」本能がなせる業です。「木を見て森を見ず」ということわざがありますが、「森を見て木を見ていない」ことも意外と起きています。

それは具体的に細かく落とし込んで考える方が脳に負荷が掛かるからです。しかし0か100かだと「やらないか、やるなら(自分がそう思っているに過ぎない)完璧にやるか」の二択になり、結果何もしないになりがちです。

どんなことでもそうですが、「全体は無数の部分によって成り立っている」ものです。

例えば、まめに部屋の片づけや掃除が出来る人は、一遍にやってしまおうとしません。口を揃えて「目に付いた時に、目に付いたところをサッと片づける」と言っています。

片付けが苦手な人は、それこそ上述した「やらないか、完璧にやるか」の二択になっていることが多く、それだとただでさえ苦手意識があるのに、全部やろうと思ったら億劫で仕方がありません。

部屋全部を片づけるのではなく、机だけ、机の中でも、まず机の上だけ、引き出しを一つだけ、とできるだけ小さな単位に細分化します。「30秒でできること」に落とし込むのがコツです。30秒が15秒でも10秒でも構いません。机の上をきれいにするのも億劫なら、ペンをペン差しに戻すだけ、これくらい細分化する頭の体操をまず習慣化します。

私の運動の例で言うと、10分間きっちりストレッチをするのが中々習慣づかないので、仕事や家事の合間にちょこちょこと首や肩、背中のストレッチをする、スクワットも15回ワンセットを3セットなどと「頑張らずに」、氣分転換がてら3回、4回やる、それくらいにハードルを低くしています。

これも私の場合は、自分の健康維持のためなのでそれで良いのですが、例えば何かの試合に出るために運動している人なら、一日のノルマをある程度決めて「達成出来たら手帳にマークをつける」など、達成感を味わう工夫があると続けやすいかもしれません。「ちょこちょこやるより、がっつりやって達成感を味わう方が長続きする」タイプの人も同じです。

「わかっていたのにやらなかった」の自分への裏切りを重ねない

冒頭で「結果が出たクライアント様は、必ず小さな行動に移している」と書きました。これは行動の中身は問いません。どんなささやかなことでも良いのです。

「これが大事だ」「これをやるべきだ/やるべきではない」とわかっていたのにその通りにしなかった、そうした経験は誰にでもあるでしょう。人は他人からそれを咎められなかったとしても、その自分を苦く感じ、その苦さに耐えられないと更に言い訳を重ねます。

それが何故良くないのか、それは自分を裏切っているからです。自分への裏切りが積み重なるほど、自尊感情は下がります。

大事とわかっていても、苦手なことほど「楽がしたい」本能に負けてしまい、行動に移さないことは誰にでも起きてしまうでしょう。だからこそ、工夫をして小さな行動に移してみる、要は言行一致することです。

自分がやりやすいところから、言行一致する習慣を身に着ける、その工夫が上記の3つの例です。これは私の体験を元にしたことなので、他の工夫もあるかもしれません。

言行一致すればするほど、自分の中が統一され、スッキリと一本筋が通ってきます。そうすると「様々な角度から調べ考えて、慎重に判断を下す」ことはあっても、「こんなことを言ったりしたりして、変に思われたらどうしよう」という無駄な迷いはなくなります。

自尊感情豊かに生きるためには、「大事なことを大事にしているか」自分の視野を広げる問いと共に、「大事だと思ったことを、小さなことで良いので行動に移す」その習慣が必須なのです。

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第1回 自尊感情とは何か。何故大事か
第2回 全ての感情を受け止め、否定しないことの重要性
第3回 「何が嫌だったか」を自分に質問する。目的語を補う
第4回 期待通りに成らない現実を受け入れざるを得ない時
第5回 小さな一歩を踏み出す・最低限のラインを決める
第6回 人生が変わるのは知識ではなく氣づき

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🔗第1回・要約・氣づきメモ

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    生きづらい貴方へ

    自尊感情(self-esteem)とは「かけがえのなさ」。そのままの自分で、かけがえがないと思えてこそ、自分も他人も大切にできます。自尊感情を高め、人と比べない、自分にダメ出ししない、依存も支配も執着も、しない、させない、されない自分に。