自尊感情を高める7つの習慣⑤ 気づきは地図の拡大のために

知識ではなく気づきによって、変わる生き方

セラピー・セッションで主にやっていることは、クライアント様の経験から気づきを得ていくことです。

気づきは知識とは異なります。弊社のクライアント様は、勉強熱心な方が多く、読書好きだったり、また弊社サイトの記事を繰り返し読んで下さる方も少なくありません。

しかし、多くのクライアント様が「足立さんが書かれていることの意味はわかるのですが、何度読んでもピンときませんでした」とおっしゃいます。そしてそれは、或る意味当然のことです。

知識はどうしても、最大公約数的なことにならざるを得ません。この記事でさえそうです。その人その人の個別具体的な課題解決のためには、お勉強で得た知識ではなく、実生活に即した気づきが必要です。

気づきは、自分の実生活からのみ得られる、「今現在の自分に必要なもの」です。気づきはタイミングも重要です。

そして言葉にしてしまえば、必ずどこかで聞いたことがあるはずのことばかりです。それを知識として「知っている」ことと、自分の生き方になるのは天と地ほどの差があります。宗教でも思想でも、生き方にならなければ人生は変わりません。

お勉強が得意な秀才が、必ずしも自尊感情が高いわけではなく、自己否定感が強いことさえあるのは、知識と気づきは違うことが、本人にも周囲の大人にも理解されていないからでしょう。知識を得るだけの「お勉強漬け」にしてしまうと、実生活からの気づきを得る機会が、寧ろ減ってしまうかもしれません。

また私たちは、上手くいったことからよりも、嫌なことや辛かったことの方から、より多くの気づきを得られます。「愚かさを通り抜けて初めて身につく」賢さがある。たとえどんなに愚かな自分であっても、その自分を決していじめず、ダメ出しせずに希望を持ち続けられる人は、このことがよくわかっています。

心理セラピーとは「気づきを得て、自分の世界地図が拡大すること」

気づきを得た瞬間、困難な出来事は「降りかかった災難」から「リソース(資源)」に生まれ変わります。

気づきを得るとは、「自分の世界地図が拡大する」と言い換えても良いでしょう。
私たちはそれぞれ脳の中に、固有の世界地図を持ち、現実を推し量っています。
そしてどの地図も土地そのものを正確に写し取ったものはなく、「正しい地図」は存在しません。

ただ、望むところへ行くために、自分の地図が役に立つものになっているかどうかが問われます。

大阪から東京へ行きたいのに、途中の名古屋で地図が途切れていたら、名古屋から東京まで地図を拡大する必要があります。

名古屋までの地図が「悪い」「間違っている」のではありません。目的地へ到達するのに充分な用を足せない、だから拡大する必要がある、ということです。

そしてしばしば人は、自分の地図を拡大するのが面倒だから、「東京を名古屋まで引きずってこよう」としてしまいます。しかしこれは、やろうとするだけ骨折り損です。

この「世界地図を拡大すること」が、当Pradoのセラピーの根幹の一つです。

そのままの自分を受け入れるとは、向上心を放棄することでは決してありません。今現在の自分の地図をそのまま見ること、それ以上でもそれ以下でもないと受け入れることです。

自尊感情が高い人とは、世界地図を拡大する習慣を身に着けている人でもあるのです。

「世界地図の拡大」の図解

では、世界地図を拡大するとはどういうことか、例を挙げます。

例えば社会人になりたての時に、わがままで横柄なお客さんに当たったとします。
まだ学生気分が抜けてないその時期、どんな人でも経験の量が絶対的に少なく、まだまだ世界地図は狭いです。
そうなると、「わがままで横柄なお客さん」が狭い世界地図の大半を占め、自分を圧倒します。

「今日もまたあんなわがままなお客さんが来たらどうしよう!」
「私この仕事向いていない・・・!」

わがままなお客さんの存在=”問題”
そして「この”問題”を取り除いてほしい」「この”問題”を被っている私は被害者」の状態です。

2、3年もたつと
「いてんねん、そういうお客さん、どこ行ったって一緒や!」
とかつて先輩に言われていた事を自分も言えるようになります。

”問題”の大きさは変わっていません。
しかしその”わがままなお客さん”をその時は「嫌だなあ、面倒くさいなあ」と思うかもしれませんが、前もってびくびくしたり、後々まで引きずってくよくよしたりもしません。
”わがままなお客さん”への対処方法が身に付き、「世の中にはそういう人もいる」という事実を受け入れることができているからです。

これが「世界地図が拡大する」ということです。
実際、こうした経験を経てこそ、私たちは成長します。

こうした”わがままなお客さん”を好きになる必要はないし、理解しようとすらしなくていいのです。
ただそういう人と直に接しない限り、私たちは「対処方法」と「事実の受容」を身につけることはできません。「対処方法」と「事実の受容」がこの場合の気づきです。

地図が拡大すればするほど、世界に対する信頼感もまた強く

世界に対する信頼感が、私たちの世界地図を支えています。
この世界に対する信頼感が強ければ強いほど、地図の拡大は容易になります。
また同じように、地図が拡大すればするほど、世界に対する信頼感もまた強くなります。

世界に対する信頼感と、自尊感情は表裏一体です。

自尊感情が低い人がしばしば、「尊敬できる人なんていない」「楽しいこと(好きなこと/やりたいこと)なんてない」と言うのは、世界に対する信頼感が低いことの現れです。だからこそ、自分の外側にある人やモノやことで、埋め合わせてもらわなければならない、と思い込んでいます。これが依存・支配・執着を生み出します。

そしてまた、気づきはパワフルな自己承認です。

承認とは、ほめることではありません。ほめるとは、評価が含まれています。承認には良い悪いの評価はありません。ただ、そういうことが起きている、そういう自分がいることを認め、理解し、受け入れていくことです。

そして自己承認ができていない人ほど、他人からの承認や愛情を求め、その割には受け取れなかったり、まだ足りない、まだ足りないの状態に自分を留めてしまいます。これが本来は不要の焦りや不安を生み出してしまいます。

気づきが増えれば増えるほど、自分で自分を承認していきますから、他人に求めることは減っていきます。そして他人からの承認を、素直に「ありがとう」「ありがたいな」を感じ受け取れる心が育っていきます。

セラピストは、クライアント様のお話をただ聴いているだけではありません。起きていることをまず整理し、クライアント様の心の中の、もやもやとした気づきの卵を言語化する、そして明確な気づきにすることを多く行います。

クライアント様の言葉をただおうむ返しにするのではありません。より深い洞察に変えていくためには、セラピスト側の見識の高さが求められます。セラピストにとってセッション以外の時間は、この見識を養うための、不断の準備に費やされます。

何が起こっても、世界は美しい

辛かったことから気づきを得る、これを繰り返すことで、無条件に自分を信じ、困難を前もって恐れなくなります。自分を信じるとは、世界を信じるということであり、世界地図が拡大するということです。

自尊感情が豊かな人が、困難、妨害、挫折にめげずに前に進み続けることができるのは、
「世界は無条件に信じるに値する」
「美しい世界がどこかにあるのではなく、何が起こっても世界は美しい」
と思っているからです。

雨雲の向こうにはいつも青空がある、今目に見えていなくても、それを知っているからです。

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