ザイガニック効果・潜在意識は検索し続ける
恐らく皆さんにも、次のような経験があるかと思います。
道でばったり出会った人の、顔はわかるのだけれど名前が出て来ない・・・。
そしてそんな時に限って、相手はこちらの名前を覚えていたりします。
「どちら様でしたっけ?」とも訊けず、何とかその場をやり過ごして、数時間たった後
「ああ!思いだした!○○さんだわ!」
その人と別れた後、ずっと「あの人の名前、何だっけ?」と考え続けているわけではありません。
しかしその間、潜在意識は検索をかけ続けています。
そして数時間後に「あったぞー!」と答えを出してきます。
これをザイガニック効果と言います。
潜在意識は、とにかく融通が利きません。
「もうそのことは考えなくても良い」という判断が出来ません。判断は頭、顕在意識がやっています。
一度かけた検索は、見つかるまでバカ正直に潜在意識は答えを探し続けます。
「答えの出ない質問」をすると疲れ果てるのは当然
人の名前のように、明確な答えのあるものは、答えが出た時点で検索を止めます。
しかし、私たちはこんな質問を自分にしていることがあります。
「私はこれでいいのかしら?」
「私はどうして失敗ばかりするのかしら?」
「どうしてこんなにやる氣が起きないのかしら?」
或いは
「あの人何でああなの!?(意地悪なの、わからずやなの、頑固なのetc.)」
「あの人どうしてわかってくれないの!?」
脳は起きた出来事の意味付けをしたがるので、このような質問がどうしても浮かび上がります。
しかし、これらの質問には答えはありません。
またこういう質問は、一回だけですみません。何度も自分に質問するたびに、潜在意識は検索をかけ続けます。
これらの質問はどんな人にも「出てきてしまうもの」なので、あとは如何に素早く「ああ今、自分に役に立たない質問をしているな」とキャッチする、これが客観視です。そして「不安なんだな。そう感じても仕方ないよね」「やっぱり腹が立って当然だよね。あの態度はないよね」と感情そのものは抑えつけず、否定せずに共感的に受けとめます。
うつ状態にある人は、こうした「答えのでない質問」を延々と自分にし続けています。
潜在意識が疲れ果てて当たり前、それに氣がつけない、これがうつ状態を引き起こしています。
「答えの出ない質問」を「答えの出る質問」に変える方法
人生の質は、自分にする質問の質で決まります。
上記の質問を、答えの出るような質問に変えるだけで人生が変わります。
コツはWhyからHowもしくはWhatに変える、ということです。そして主語は「私」です。
他人のことは検索をかけても答えは出てこないからです。
「私はどのような自分になりたいのだろう」
「私はどうしたら同じ失敗を繰り返さずに済むだろう」
「やる氣を出すのにどんな方法があるだろう」「リラックスするのに何が一番良いだろう」
「あの人とどういう関係を築きたいのだろう」
「どのようにしたらあの人にわかってもらえるだろう」
・・・上記の質問をHowもしくはWhatに、主語を「私」に変えただけです。
もちろん、人の名前よりも検索結果が出るのに時間はかかるでしょう。
でも必ず、潜在意識は答えを探し出してくれます。自分の内側からの、ふとした思いつきやひらめきや、誰かの口を通して、或いはたまたま見かけたネットや本に、その答えがあった、など、その答えは様々です。その答えが、自分がした質問の結果だと、氣づかないことも往々にしてあります。
これは私の実感ですが、「すぐにできる小さなこと」として答えをくれます。「雷に打たれるような神の啓示」ではなく、「こんな小さなことでいいのかな?」とその時は思うレベルのことです。しかし、誰にとっても小さな一歩しか踏み出せません。それはその人にとっては小さな一歩ですが、他の人から見れば必ずしもそうではありません。
また、面倒がらずにすぐできることでないと、人は中々行動に移さないものです。そして変化を起こせる人は、小さな創意工夫を怠らない、これには例外はありません。
ですから、その答えの通りに、行動に移すことが必須です。どんな小さな、或いは「これって関係あるのかな?」と思うことであっても、コツコツ積み上げると、いつのまにか「なりたい自分」「同じ失敗を繰り返さない」「やる氣が出る」「一番良いリラックス」「あの人との関係の改善」「わかってもらうこと」が実現されます。
これを繰り返すと、潜在意識は「わかってくれた!」と張り切りますので、更に素早く答えを出してくれるようになります。
ただし、行動に移さないと、潜在意識は「せっかく答えを出したのに・・・」「何や、口だけやん」「ほんまは『なりたい自分』も『同じ失敗を繰り返さない』も『やる氣が出る』も『あの人との関係を改善』も、欲しくないんや」と思ってしまいます。
「あの人、口だけよね」の人は信用されません。同じことが、自分と自分の潜在意識との関係の中でも起こります。自信とは、潜在意識が自分を信用し、協力してくれること。何かができるとか、他人から評価されるとかではありません。
言行一致することの意義はこうしたことにあります。
Howそして「私」を主語にする、これが自尊感情を高めるコツのひとつです。
当Pradoのセラピー・セッションは、クライアント様の自尊感情が高まる質問を適宜行います。そしてまた、セッション完了後は、「答えの出ない疲れ果てる質問」を自分にしなくなり、「答えの出る質問」を自分にするようにおのずとなっていきます。このおのずとやる、即ち習慣化されれば、セッションは卒業になります。