潜在意識の特徴 ⑦ 全体性を重視・トータルで幸せにしようとする

「仕事だけが出来る人」はいない理由

潜在意識の成長は、例えて言うならビルの建設のようなものです。一本の柱だけ高く建てても、ビルは完成しませんし、却ってバランスを崩してしまいます。

というのは、例えば仕事が出来る人とは、「仕事だけが出来る人」では決してありません。マナーや教養、健康、金銭面、対人スキル等、バランスがとれているからこそ仕事も出来る、ということです。

何かの分野で、一流だと思う人の事を思い浮かべてみましょう。直接は知らない人の事でも構いません。

その人はむさくるしい恰好をしているでしょうか?
ジャンクフードばかり食べているでしょうか?
借金を踏み倒したり、逆に過度にケチだったりするでしょうか?
家族をないがしろにしているでしょうか?
道端にゴミをポイ捨てしたり、お店の人に横柄な態度を取ったりするでしょうか?

ある分野で一流の人は、他の分野でも優れているのです。

「自分だけが幸せ」も本当はあり得ない

またこれは自分のことだけではなく、周囲の人とのバランスも意味しています。
自分一人が幸せ、ということは本当はあり得ません。

自分がどんなに健康で、収入もたくさんあって、友達にも恵まれていて、社会的な評価を得ていたとしても、自分の愛する大切な人が病氣だったり悩んでいたりしたら、自分は幸せだとは感じられない、それが健全な人の心のありようでしょう。

逆から言えば「私はどんなに辛くても不幸せでもいい、周りの人が幸せでいれば」もありません。これは自己陶酔であり、悲劇のヒロインの自分に酔っています。
勿論、全体のために少し譲る、辛抱することも時には必要です。しかし「誰かの犠牲の上に成り立つ幸福」は、やはり不健全だと言わざるを得ません。

また誰かをいじめたり嫌がらせをしたりして溜飲を下げる、これは一時しのぎの「快」を感じることかもしれませんが、少々オーバーな表現をすれば「薬物中毒」と同じです。それをやっている人は、本人に自覚はなくても真の幸せにはなれません。

嘘をつく、遅刻する、約束を破るを平気でする人も同じことです。そうした人には、味を占めさせないことが真の思いやりです。注意したところで変わらない人たちと、距離を置くのは冷たい態度ではなく、「味を占めさせない」ためでもあります。

「私はこんなに頑張ってるのに!」をやると目標は達成しない

また努力して成果を出してきた人が陥りがちですが、

「私はこんなに頑張っているのに、どうしてあんたたちは頑張ろうとしないの!あんたたちが遊んでいるせいで売り上げが上がらないじゃないの!どいつもこいつも!」

を口に出す出さないは別として、思ってしまうことがあります。
自分は頑張っている、努力している、その自負があればこそ、そう感じてしまうのも無理はありません。

しかしこれをやっている間は、結果的に売り上げは上がりません。上がったとしても一時的なものだったり、チームにひずみが起きたりしてしまいます。これは一本の柱だけが伸びている状態です。

遊んでいるように見える人にも、彼らなりの事情や言い分があります。それが良いか悪いかは別として。

中々難しいことではありますが、その人たちが「遊んでいる」行為を良しとする必要はなく(行為を叱ることも必要です)、その裏にある彼らなりの事情と限界に思いをはせ、それを良しと思えなくてもいいので、事実を辛くても受け入れていく、少なくとも受け入れようと努力すると、他の柱も伸びていきます。勿論これは、言葉で言うほど簡単ではありません。有体に言えば、「今、この人たちにどこまで求められるか、求めても良いか」を見極めることです。

自分の努力という柱に自負を持ちつつ、「それが全てではない」と他の柱にも意識を向けることで、他の柱も伸びていきます。

「自分の中の自分」を憎み、不幸にしないこと

そしてこれはまた、一人の人間の中でも同じです。

例えば体重を落とすことが目標だったとするなら、「太っている自分」を憎み、見下しているうちは体重は落ちません。
「体重を増やした自分」にも、何らかの事情や言い分があります。その事情や言い分を理解し、受け入れて初めて体重が落ち始めます。

それをしないままだと、体重が落ちたとたんに、内心ではあれ「太っている他人」をいつの間にか見下すことをしてしまいかねません。
「太っている」=「憎むべきこと」が潜在意識の中から解消されないと、氣がつかないうちにそれをやってしまいかねません。

潜在意識は、トータルでその人自身を幸せにしようと働きます。「お金さえあれば」「この試験にさえ受かれば」「ダイエットが成功しさえすれば」、幸せになることはありません。

弊社のクライアント様が抱える問題は、千差万別です。しかしどんな問題であろうと、「その問題だけ」解決することはできません。逆から言えば、自尊感情が高まること、どんな自分もOKを出せること(叱られたらすねるとか、嫌なことを他人に押し付けたり、言い訳して逃げ回っているうちは、条件付きの自分しか認められていません。「逃げたくなる自分がいるんだなあ」と受け止め、かつ逃げないのが自尊感情が高まったサインです)ができれば、どんな問題であろうと、おのずと解決していきます。

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第1回 自尊感情とは何か。何故大事か
第2回 全ての感情を受け止め、否定しないことの重要性
第3回 「何が嫌だったか」を自分に質問する。目的語を補う
第4回 期待通りに成らない現実を受け入れざるを得ない時
第5回 小さな一歩を踏み出す・最低限のラインを決める
第6回 人生が変わるのは知識ではなく氣づき

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🔗第1回・要約・氣づきメモ

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    生きづらい貴方へ

    自尊感情(self-esteem)とは「かけがえのなさ」。そのままの自分で、かけがえがないと思えてこそ、自分も他人も大切にできます。自尊感情を高め、人と比べない、自分にダメ出ししない、依存も支配も執着も、しない、させない、されない自分に。