潜在意識の特徴 ⑩人の成長はS字曲線の理由

人は正比例で成長することを期待しがち、でも

何らかの目標を持って努力し始めた時、人は頭、つまり顕在意識では努力が足し算のように、正比例で積み上がっていくと期待します。
しかし、実際にはスタートしてからしばらくは成果が出ず、あきらめかけた時にぐんと成長します。

子供の頃の、自転車に乗る練習を例に挙げます。
運動神経の良い人は苦労せずにすぐに乗れるようになったかもしれませんが、多くの人は何日も練習したでしょう。
何度も転び、「中々乗れるようにならないなあ・・・」とあきらめかけた矢先に、ある日突然すいすいと漕げる様になった、そんな経験をされた方も多いでしょう。

鉄棒の逆上がりとか、縄跳びの二重跳びなどでも、同じように「昨日まではできなかったのに、ある日突然できるようになった」はずです。逆上がりが「一昨日は半分まで上がり、昨日は4分の3まで上がって、今日は全部出来た」というようにはいかないのです。

「中々できるようにならない」日々があればこそ、ある時を境にぐんと成長します。
これは潜在意識では、足し算ではなく掛け算、しかも自乗で成長していくからです。そして潜在意識の領域の方が、8~9倍で大きいからです。

逆の例を挙げてみます。
テストの前に一夜漬けをしても、翌日の試験の時にいくらか思い出せればいい方で、その後は忘れてしまう、一夜漬けとは「そうしたもの」です。
例えば一夜漬けに8時間かけたとして、同じ8時間を30分×16日に分けて勉強した方がずっとよく身に着きます。
もし、積み上げが「足し算」なら、8時間は8時間ですから、一夜漬けでも同じ成果が出るはずです。しかし実際はそうではありません。

1日30分の勉強を1単位とすると、潜在意識では自乗で増えて行きますから8日後には下の表のようになっています。
Xは30分の勉強を1単位とした時に「合計何単位やったか」、Yは「成長度」です。

顕在意識での積み上げ・足し算(y=x)12345678
潜在意識での成長・掛け算(y=x21491625364964

つまり30分の勉強をを8日間続けた時点で、潜在意識には64の積み上げがあります。この時点で仮に、まとめて4時間やっても8しか潜在意識には入りません。既に大きく差がついています。

これをグラフ化すると以下のようになります。

「諦めたくなる時」はぐんと伸びる直前

多くの人が曲線がぐんと上にのびる直前で諦めてしまうので、「やっても無駄」と思ってしまいます。
「諦めたくなる時」は、実は曲線がぐんと伸びる手前まで来ていることが多いのです。

そして中々成長していないような時でも、実はじわじわと線は上がっています。この少しずつの成長をキャッチできると、潜在意識は「認めてくれた!」と張り切りだします。

誰しも努力を認めてもらうと嬉しいですし、氣がついてもらえないとがっかりしてしまいます。潜在意識も同じです。一人の人間の中でも同じことが起こっています。自己承認とは、自分をちやほやすることではなく、「少しずつの成長をキャッチできること」です。自己承認ができればできるほど、自尊感情が高まります。

弊社の心理セラピーでは、二回目以降の冒頭に、必ず前回の振り返りを行い、
「前回のセッションから今日までを振り返って、どんな変化や氣づきがありましたか?」
と質問します。これは変化や氣づきの中身も大事ですが、それよりも、どんな小さな変化でも氣づけているか、その自己承認の習慣を身に着けるためです。
小さな変化をキャッチできるクライアント様ほど、早く結果が出ます。何度聞かれても「いや、ありません」だと、中々結果は出にくいです。

上記のグラフの、曲線がぐんと伸びる手前までの間の変化は、意識しないと見逃してしまいがちです。しかし、後から思えば「小さな、ふとしたことだったけれど、絶対に不可欠なことばかり」です。この小さな変化を見逃してしまうと、「全然変わっていない、進歩していない。もしダメだったらどうしよう。やっぱりダメかも」とめげてしまいかねません。

人の成長に現状維持はない、前進か後退のみ

そして成長し続ける人は、このS字曲線を繋いでいっています。
一旦上がっても、そこで慢心しません。慢心すると線が下がってしまうことを直観的に知っています。

成長をy=xと捉えていると、すなわち正比例のグラフのように捉えていると、「まあ、今日はやらなくてもいいか、明日にしよう」を何日も、何週間も、何か月も何年もやってしまいかねません。積み上がりはしなくても、下がりはしないと考えるからです。

y=x²だと、xを0にした途端にグラフがいきなり下がってしまいます。

人の成長・進歩には、「現状維持」は残念ながらありません。前進か後退しかない。これもあらゆる分野で、事を成した人達が異口同音に口にする言葉です。

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第4回 期待通りに成らない現実を受け入れざるを得ない時
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