セッションをお断りするケース
心理セラピーの効果が出ない時とは
皆さまはどのような時に心理セラピーが効果を上げ、どのような時が効果が出ないとお考えになるでしょうか・・・?クライアント様の置かれている状況や、問題の深刻さが影響すると思われるかもしれません。
しかし意外と、問題が深刻かどうかは余り関係ないようです。勿論、深刻なお悩みであれば、それ相応の時間はかかる傾向にあります。しかし変化を起こせるかどうかと、問題の深刻さは必ずしも比例しない、多くのクライアント様に接した私の実感です。
以下に、心理セラピーが効果を上げない、クライアント様と私の双方を守るためにお断りせざるを得ない、主に3つの場合を説明します。
① ご自身が自発的に取り組まない場合
心理セラピーに限らず、「セッションを受けさえすれば何とかなる」の丸投げでは結果は決して出ないものです。車の教習所、英会話、経営コンサルタント等々と、心理セラピーもやはり同じです。
人は自信を失うと、つい氣が弱くなり「誰かに何とかしてもらいたい」と思い浮かぶものかもしれません。ですが、仮に「誰かに何とかしてもらった」としても、一番肝心の自信を育めなくなり、本末転倒になることも起きてしまいます。
自尊感情の中身の一つに、問題解決能力があると私は考えています。問題解決能力とは、「前もって解決の手立てを知っていること」というよりも、「『何とかする』『何とかできる』と自分に対して思える自己有能感に支えられていること。また具体的な対処方法を自分に問い、わからない場合は相談したり調べたりして、実践しようとすること」と当Pradoでは位置付けています。
そしてそれは「今までやってこなかったけれど、今日、今出来る小さな実践に移すこと」に自ずとなっていきます。誰にも氣づかれない、誰も「わあ、すごいねー」とほめてはくれない、小さな実践から始める、これを面倒くさがらずにやる習慣が、自尊感情を徐々に高めてくれるでしょう。その実践とは、例えば「感情が乱れがちな時は、まず意識的に深呼吸する」といった、特別なことではない、本当に小さな一歩です。
「小さな実践に移すという、面倒くさいことをするくらいなら、『不幸な自分』『ダメな自分』を選んでおく」それもひとつの生き方かもしれません。ですが、それでは自尊感情は高まりません。
弊社のセッションでは必ず小さな宿題を出す理由です。この宿題に取り組まない場合は、残念ですが、弊社の方針とは合わないと判断し、お断りさせて頂いてます。
② 依存が目的の場合
依存が目的の場合は、結果が出ない。自尊感情を高めるとは、依存しなくて済む自分になることなので、自ずと矛盾する、その現れだと思います。
また「だって」「どうせ」、或いは「自分がどう思う、どうする」ではなく「同調圧力が」「会社が」「世間が」「みんなが」「夫が」「息子が」が口を突いて出る。そしてクライアント様自身が「これを何とかしたい」「つい言ってしまうけれど、やっぱりそれは良くないですね」と感じていない場合も、どうしても堂々巡りになり、クライアント様も私もお互い疲弊してしまうことがあります。
他では言えない愚痴や鬱憤、葛藤懊悩は吐き出して頂いて構いません。心理セラピーは「一旦全部吐き出す」ことが必要な場合も多々あります。そのことと、「だって、どうせ」に終始するのはやはり異なると実感しています。
クライアント様の自尊感情を寧ろ低下させ、悲しいことに、ご自身にも周囲の人々にも悪影響が出てしまいかねません。
③ 自分と向き合うエネルギーが充分にない場合
心理セラピーは自分と向き合うための、少なからぬエネルギーがクライアント様にも必要になります。
心身ともに疲労困憊している時は、まずは休養を取って頂ければと思います。栄養のある消化の良い食べ物を少しずつ召しあがるなどしてお体をいたわって下さい。
心理セラピーを申し込まれる段階では、もうそこまで疲労困憊していないと思われても、やはりまだエネルギーが充分には回復していなかった、ということもあります。その場合は勇氣を出して休む、それもセラピーの一環と捉えて頂ければと思います。
ご自分の心と向き合うのは、それからでも充分間に合います。
また遅刻・キャンセル・予約の変更等が頻繁な場合も、上記①~③のいずれかに該当するとみなし、お断りさせて頂いています。
残念ながら全てのクライアント様が結果を出せるわけではありません病気やけがなどの体の不調があると、私たちは病院で治療を受けます。 その結果治ると、「お医者さんが、薬が、手術が、処置が治してくれた」と思うかもしれません。そんな心情が背[…]
ご家族、知人・友人に連れられて(あるいは言われて)ご来店されたクライアント様の場合、ご本人がセッションを開始・継続する意志がない場合は、原則としてご本人へのセッションをお断りさせて頂いてます。
その場合は同意の上、ご紹介者様へのセッションに切り替えさせて頂きます。
(下の『「私の家族(子供、配偶者)、友人、知人を連れていきたい」とお考えの方へ」をご参照くださいませ)
当Pradoとセッションの方針が合わない(他人に復讐したい、記憶を消したい、他人を支配したい、約束を守れない等)場合もお断りすることがあります。
自傷、他害、器物破損、暴言、自殺企図等はセッション完了までは禁止とさせて頂いてます(セッション外の時間であっても)。
行動化が激しい場合、またこれらのお約束が守れない場合はお断りさせて頂きます。
当Pradoの心理セラピーの対象範囲外となるケース
脳腫瘍、脳梗塞、認知症などの脳機能障害や、貧血、更年期障害など体の不調による抑うつ症状(セッションの途中で明らかになった場合は、直ちに中止させて頂きます。医師の指示に従って下さい。)
また昨今徐々に知られるようになりましたが、やる氣が出ない、不安、イライラ、落ち込みなどの抑うつ症状は、「質的栄養失調」が原因の場合もあります。ドーパミンやセロトニン、オキシトシンなどの脳内伝達物質は、タンパク質やナイアシン、鉄などのビタミン、ミネラルが原料です。これらの栄養が不足すると、心の状態にも悪影響が出ることがあります。
詳しくは以下のリンク、もしくはムック本をご参考にして下さい。
kotetsutokumiさんのブログです。最近の記事は「Messengerでの医療に関する質問は医師法20条違反となり…

自閉症、アスペルガー症候群、発達障害など先天性障害
統合失調症、及び統合失調症が疑われる場合(幻覚、幻聴、妄想などの症状が認められる場合、速やかに医師の診察を受けて下さい。)
双極性障害(躁うつ病)
てんかん(催眠誘導により症状を誘発する場合があります。)
境界例、人格障害、及び人格障害が疑われる場合
(境界性人格障害、自己愛性人格障害、依存性人格障害など)
「私の家族(子供、配偶者)、友人、知人を連れて行きたい」とお考えの方へ
「うちの子供が学校へ行きたがらない」
「私の家族がひきこもりだ」
「私の知り合いが夜中に何度も電話をかけてきて、延々と愚痴を言う」
「だから私の子供を連れていきたい」
「私の家族にセラピーを受けてほしい」
「その知り合いにあなたを紹介しても良いか」
人は体の具合が悪い時、お医者さんにかかると、お医者さんが、処置が、薬が治してくれたと思いがちです。しかし、実際のところは、その人の自然治癒力が、処置や薬を「使って」自分を治しています。
心のことも体と同じように考えて、上記のような発想になりがちなものかもしれません。しかしながら、 これらは全て、「この状況を変えたいと思っている人、つまり、『あなた』が来て下さい」になります。人は「この状況はこの困った事態を引き起こしている○○のせいだ」になると、「○○が変わるべき。何で私が何かをしなければならないの?」「あの人、どうにかしてよ」と思う、それもまた自然な心の成り行きです。
「自分の何かを変える意志がない」「だけれど『困ったこと』が引き起こされている」人に対して、「それはどうかと思うよ」「少し考えてみた方が良いと思うけど」などと意見することはできます。ご自身とその人が属する集団(家族・職場・社会全体)の今と未来を考えてもらう。その権利は充分にあるでしょう。事なかれ主義は誠実とはやはり言えません。有耶無耶にして先延ばししないのも、責任ある態度だと思います。
それでもなお、変化を起こすには時に多大なエネルギーが要るものです。「もう嫌!こんなことはもううんざり!」と心が叫んでいる人こそが、変化を起こすエネルギーを持っています。
職場の例で言えば、「困った上司」「わがままなお客さん」「『わかりました』とは言うけれど、結局何もしない部下」を直接変えることはやはりできず、こちらが対処する術を学んで身に着けるしかない、ということでもあります。
また時に善意のつもりが、却って相手を追い詰めてしまうこともあります。
特にお子さんに対して
「どう?行ってみない?」と尋ねて「うん」と答えたとしても、それは本心からではなく
「ここで嫌だと言ったらお母さんにまた怒られる、泣かれるから仕方なく『うん』と言っておく」
「家の中でもめるのが嫌だからとりあえず行く」
そして私の前では遠慮があるため「いい子」にしていても、家に帰った途端、その反動で暴れる、部屋に閉じこもる、泣きわめく。そんなことも起きてしまいますし、むしろそれが人の心の自然な反応だと思います。
「やっぱり自分は家族に迷惑をかけているんだ」という罪悪感が刺激され、家に帰った途端に爆発する。爆発できたことは、内にこもって溜め込むよりかはずっとましと言えます。しかしそれでも、傷ついたことには変わりありません。
ご本人から「行きたい、連れていってほしい」と言い出さない限り、親御さんから「セラピーを受けさせる」ことは示唆しないで頂きますよう固くお願い申し上げます。
夫婦であっても、親子であっても
「あの子が、夫が、妻が、問題だ。(だから相手が変わるべきだ)」の発想から
「この関係性(相手そのものではなく)をより良いものにするために、自分にできることは何だろうか?」の考え方へシフトすることがとても大切です。例えば伝え方を工夫する、相手の状況をよく観察し見極め、距離を取って巻き込まれない習慣を身に着けるなど。
人間関係の中でも家族関係は、同居の場合は逃げ場がなく、他人の目が届きにくい密室で、職場のような明確な目的がありません。ですから、悩みが深くなるのもごく自然でしょう。そうした中でも「自分が変わる」ことで道を切り開いたクライアント様は決して少なくありません。
誰にとっても人間関係は、自分が試される試金石なのかもしれません。どのような試金石が今の人生に現れているか、時間をかけて、ご自身に問いかけて頂くのも意味があることだと思います。
