企業・団体様へ・ 目標設定の面談時に不可欠なWHY

期初に部下と面談し、今期の目標設定をしていても

どの企業でも、半期ごとに数値目標を設定し、それを部署ごと、最終的には各個人に落とし込んでいることでしょう。
数値とは売り上げや利益、生産台数その他のことです。

これをしなければ経営計画は成り立たず、事業の発展もありません。

管理職の方は、期初に部下と面談し、今期の数値目標と、それを達成するにあたっての行動目標を確認していることでしょう。
それを更に月ごと、週ごと、日ごとに細分化し、進捗管理をする。どこの企業でもやっている、少なくともやろうとしていることと思います。

仕事ですから当然のことですが、その一方で、従業員がともすると数値をノルマのように捉えてしまうと、弊害が起こることもあります。
「数値さえ上がれば何をしてもいい」とか、個人の売り上げ目標を管理している部署では、「売り上げを取った、取られた」といったトラブルが起こることがあります。

そうすると、職場の士気は下がってしまいます。肝心のチームワークが乱れかねません。
チームワークが乱れた状態で、売り上げが上がることはまずない、と考えてよいでしょう。

どの組織も、一人一人の人から成り立っています。
組織の目標と、個人の目標を摺合せ、どうモチベーションを維持していくかが事業の要とも言えます。

目標は最終的には数値・しかし人は数値では動かない

企業の活動ですから、目標が最終的に数値になるのは当然です。しかし一方で、人間は数値では動かないものです。

人が動くのは理屈ではなく感情が動いた時です。数値は理屈の世界です。数値そのものに、人は中々感情を動かされません。
「目標年収1000万円!」と言っていても、実際には、1000万円の現金ではなく、その収入がもたらす世界に、人は心を動かされています。

人を動かそうとして、よくやりがちなのは脅すことです。また逆に、おだてほめそやして動かそうとすることもあります。
しかしこれは、形は違えどやっていることは実は一緒です。鞭から逃れたいか、飴がほしいかで動いています。鞭や飴がなくなったとたんに、動かなくなってしまいます。
これでは、その時限りの成果です。仕事を通じて成長し、強い組織になっていくことはできません。

環境(数値)・行動・能力レベルのみに意識が向くと、人は振り回され疲弊する

数値の目標と、それを達成するための行動目標があります。場合によっては能力を高める目標も立てるでしょう。

これらは、以下の図のニューロロジカルレベルで言うと、下の三つの階層(環境・行動・能力)に当たります。

ごく短期的なことなら、この三つの階層だけでも達成できます。しかし、長期にわたることだと人はだんだん疲れてきます。
「あと何時間で終業だ」「あと何日で休みだ」を、口に出さなくても考えるようになってしまいます。

「何故、それをするのか」が分断されているからです。ニューロロジカルレベルの、更に上の階層「価値・信念」「自己認識・使命」と切り離されてしまっているからです。
人は意義目的を感じられないものに、長期間取り組むことはー無意識的に行う習慣になっていない限りー中々できないのです。

  • 価値・・・何が大事か
  • 信念・・・物事はどうあるのが望ましいか
  • 自己認識・・・自分とは何者か
  • 使命・・・何をするのか(行動)ではなく、誰の何のためにそれをするのか

組織における自己認識とは、「その組織は何のために存在しているのか」であり、それが使命と結びつきます。
単なる金儲けのためでは、世の人の支持を得られず、早晩潰えてしまいます。

その組織が何を大事にし(価値)、「これはゆずれない」という一線を明確にする(信念)、これがなくては顧客は「何故、あなたの会社からそれを買おうとするのか」の意味を見出すことはできません。

中間管理職の仕事は、本来はこの「価値・信念」「自己認識・使命」ー企業理念と言われるものーを、日々の業務という行動に「翻訳」することです。
(しかし現状では、一人の管理職の担当範囲が以前よりずっと広がり、難しくなってきていることと思われます)

企業理念と、従業員各々の価値観とが重なっていないと

数値目標と、企業理念「何のために」が分断された状態では、人は仕事にやりがいを感じられず、仕事を通じての成長が望めません。時間や労力の切り売りになってしまいます。

また、仕事上のトラブルが起こったとき、「何のために」がどこかに飛んでいると、単なる火消しに終わってしまいがちです。
あまつさえ「このトラブルがあったから、目標を達成できなかった」と言い訳にしてしまったりします。

「同じトラブルを起こさないために、組織の何を改善しなければならないか」という、長期的な視野で物事を考えることをしなくなってしまいます。

そうしたことが起こらないためにも、企業理念と従業員各人の価値観とが、リンクされている必要があります。理屈ではなく、心が動かなくては長続きしません。
かつては朝夕会やOJTを通じ、課長・係長クラスが従業員に様々な角度からそれを伝えようとしていました。しかし就業形態が多様化している昨今、同じ意識を持ってもらうことは難しくなっているかもしれません。

価値観はWHY、WHYから始めてこそ、困難を乗り越えるエネルギーが

当Pradoの心理セラピーでは、クライアント様のお話の中から、クライアント様が何を大事に生きておられるかの価値観を引き出すことを、重要視しております。

自尊感情を高める7つの習慣⑥ 価値観を明確にする

幸せとは楽ができることでは必ずしもなく、自分の価値観に沿って、意義を見出せるものに打ち込めるときに「自分は自分でよい」という実感がわきあがります。
大事なものを大事にできているとき、人は困難を乗り越える勇気が湧いてきます。そしてこの勇気こそ、自尊感情(self-esteem)の中核をなすものです。

「生きるべきWHYを知る者は、人生のほとんどすべてのHOWに耐える」(ヴィクター・フランクル「夜と霧」中のニーチェの言葉)

価値観は好き嫌いでもありますし、「何故それをするのか」でもあります。
価値観のない人はいません。しかし、価値観は無意識の領域のものですから、通常人はそれほど明確に意識していません。

「WHYから始めよ!」(サイモン・シネック)が末端まで行き届いている組織は強い

「WHYから始めよ!」の内容は、サイモン・シネックのTEDプレゼンテーションの動画に、簡潔にわかりやすくまとめられています。

サイモン・シネックのTEDプレゼンテーション動画 「 優れたリーダーはどうやって行動を促すか」

焦りから頑張るのではなく「WHYから始めよ!」サイモン・シネック

このWHYが、末端まで行き届いている組織は大変強く、また臨機応変の対応を取れます。

新入社員やアルバイトであっても、「その仕事ー掃除やゴミ捨てであってもーは何のためにするのか」が腑に落ちていると、「こんな雑用(本来仕事に雑用はありませんが)、誰でもできますよね」とは思わなくなります。

また、状況の変化に応じた優先順位の変更を瞬時にすることができ、目の前の事象に振り回されません。
トラブルが発生しても、単なる火消しに終わらず、長期的な改善に意識を向けることができます。

組織ではなく、個人単位であっても、WHATに振り回されているのか、WHYから始めているのかで、成長は大きく異なります。

創業者は自分のWHYと会社のWHYが一致

創業者は、自分自身の価値観・WHYと、企業理念が一致しています。自分がやりたくて会社を興したのですから、当然と言えば当然です。
人生の全てを注ぎ込む情熱があるのは、自分の価値観と一致しているからです。

しかし、経営者が二代目以降になると、経営者個人の価値観・WHYと企業理念が必ずしも一致しないことが起こりえます。

その一方、経営者としての責任は同じです。創業者と同じようには、困難を乗り越えるエネルギーが、自然には沸いてこないのは寧ろ当然なのですが、周囲がそれを理解しているとは限りません。

こうした場合、まずはご自分の立場をいったん脇において、一人の人間として、何を大事に生きているのかを探るところから始めるのが、遠回りなようで近道になります。

ご自身の価値観、何を大事に生きているのかと、今の立場の役割責任を結びつける、これは必ずしも企業理念と即直結していなくても構いません。

例えば、「家族の幸せが大事」⇒「家族の幸せを守るために仕事をする」⇒「家族を守れるような仕事をする」⇒「企業理念を体現する仕事をすることが、引いては家族を守る」等、いくつかの中間のプロセスを経て、結びつけることができます。
そしてこれは、他人が「こう考えたら?」とアドバイスしてしまうのではなく、自分自身で発見していくことが大切です。

価値観を引き出し、従業員のQOLを高めるような面談

経営者・幹部ではなく、中間管理職やさらにその下の現場の従業員になると、人生における仕事の優先順位が必ずしも高くはないかもしれません。

「生活費を稼ぐため、とりあえず嫌いではない仕事をしている」これもまた、良い悪いではなく、その人の価値観として尊重されるものです。

ただ勿論、お給料や与えられた立場に見合うだけの仕事はしてもらわなくてはなりません。

目標設定の面談において、その期の目標を達成してもらう日々の行動・努力と、例えば「生活費を稼ぐため」をどう結び付けるかです。
これが結び付けられると、日々の業務がそのまま、従業員のQOL(Quality of Lie 人生の質)を高めるものになるでしょう。

「生活費を稼ぐため」の価値観を、そのまま心から尊重していないと、これはできません。「そんなんでいいのか!」といきなりお説教すると、相手は心を閉ざしてしまいます。

「価値観に良い悪いはない」「心の中で起こることは全てOK」が、面談する側がしっかり腑に落ちている必要があります。
そのことと、私たち人間は社会的動物なので、「何をやってもよい」ことには決してならない、この違いを生きている人こそ、自尊感情に富んだ成熟した大人でしょう。

「何のためにそれをするのか」を見失わない仕掛け

人は一旦「何のためにそれをするのか」がわかったつもりになっても、しばしばそれを忘れてしまいます。
目の前の、面倒なこと、辛いこと、嫌なことだけに意識が向き、その中にはまり込んでしまったり、逆にいろいろと口実を作っては逃げ出そうとしてしまいます。
これでは目標を達成することはできません。

ただ人間は「そうしたもの」なので、まずはその自分をいじめず、「そんな自分もいるんだなあ」と客観視して受け止めることが大切です。
「こんな自分はあってはならない!」と思うから、逆説的に言い訳をして逃げたくなるのです。

その上で、「何のためにそれをするのか」を何度でも思い出せる仕掛けがあると、大変効果的です。

フィギュアスケートの羽生結弦選手が、ソチオリンピックの前に、ソチの金メダルの画像をスマホの待ち受けに設定していました。
羽生さんはある大会のインタビューの最後に、照れたように笑いながら「辛い練習に戻ります」と答えていました。
「羽生さんも、生身の人間なんだ。やっぱり練習は辛いんだ」とその時私は思いました。

羽生さんと言えども、辛いものは辛いのです。

しかし、その辛さから逃げていては、金メダルは決して取れません。「何のために」を常に思い出すために、金メダルの画像を待ち受けにしていたのではないかと思われます。

「何のために」は、数字や言葉ではなく、ビジョンとして目に見えるようなものが望ましいです。数字や言葉は顕在意識の領域で、潜在意識には理解できないからです。それを見ると、羽生さんのように「辛い練習に戻ろう」と自発的に思える仕掛けです。

潜在意識は顕在意識の8~9倍の領域を占めています。頭の顕在意識ではなく、心と体の潜在意識から動かすことが肝要です。

例を挙げると「こうなりたい」と思う尊敬する人物や、家族の写真、心からありがたいと思えるお客様など、自分の「何のために」の価値観が反映されているものが望ましいです。
先のニューロロジカルレベルで言うと、「価値・信念」「自己認識・使命」を表現しているものです。

「年収が上がってリッチな生活」も悪いわけではありませんが、これは「環境」レベルのことです。
「年収が上がった結果、家族をさらに幸せにできている。安心した家族の笑顔を見ている」などの方が、「実現したい価値」になるのでより望ましいでしょう。

これらの仕掛けは待ち受けでもいいし、写真などを手帳に挟んでも構いません。またこれは、随時変えていっても構いません。

数値目標は、これらを実現した「結果」あとからついてくるものなのです。

当Pradoでご支援できること

今までお読みいただいたことは、もしかすると既にどこかで、見聞きしたことがあるかもしれません。

当Pradoでは、例えば集合研修という形で、説明することもできます。
しかしそれ以上に、一人一人に向き合い、その方が普段あまり意識はされていない価値観を引き出し、会社の数値目標・行動目標と結びつけ、その方のQOLが向上するような仕掛けを探る、こうしたことができます。

普段されることのない質問を、私(足立)から受けることにより、脳に新たな神経回路を作ることができます。
そうすると、脳の中では「一度目」が既に完了しています。現実の行動は、脳にとっては二度目になりますので、よりやりやすくなります。

知識レベルで理解することと、実践に落とし込むことには距離があります。

実践に落とし込むには、その方の現状に合わせ、その方がどこへ行きたいか(これは全員違います)に合わせることが不可欠です。オーダーメイドにならなくては日々実践できません。
研修だけでは「わかったつもり」で終わりがちになるのは、この各人の「オーダーメイドにする」プロセスが抜け落ちてしまうからです。

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