潜在意識の特徴 ⑫休んでいる時に成長する

意識が変わる時、とても眠くなることも

当Pradoのセラピー・セッションを受けたクライアント様から時々、「セッションの後すごく眠くなるんですが・・」というご質問があります(個人差があります)。顕在意識ではなく潜在意識にアプローチするのでセラピーの後は眠くなります。
「寝る子は育つ」と言いますが、「寝る大人の潜在意識も育つ」のです。

「意識が変わる」とか「意識が高い」などという言い回しがありますが、この場合の意識は顕在意識(頭)というよりも潜在意識(心)です。
何も考えずに(頭を通さずに)、自然に現れる態度が「意識のあり方」です。そしてこれが変わらなければ、人生の根幹が変わることはありません。

例えば社会人一年目の頃、とても疲れて休みの日に遊びに行く元気もなく寝てばかりいた、そんな方も多いでしょう。
社会人一年目の仕事は、通常それほど責任の重い仕事ではありません。
それでも、二年目三年目よりも何故か疲れるのは、「学生から社会人に意識が切り替わる」という一番大きな仕事をしているからです。

社会人一年目でなくても、大きく環境が変わった時なども「大したことをやっていないのに、何故か疲れる」ものです。
潜在意識は顕在意識の8倍から9倍、或いはそれ以上と言われています。潜在意識が変わる時は「疲れて当然」なのです。

レム睡眠時に記憶が脳に定着=意識の変化

私たちの学習とは、記憶することと言い換えても良いでしょう。人間の脳の記憶には短期記憶と長期記憶があります。
短期記憶は、例えば今日スーパーで何を買うか、メモではなく「記憶して」おくようなことです。短期記憶は24時間以上たつと多くは忘れてしまいます。

長期記憶には、エピソード記憶(出来事の記憶)、意味記憶(「椅子とはどういうもの」「日本の首都は東京」など意味や知識に関わる記憶)、手続き記憶(体で覚えるもの)があります。
エピソード記憶の中でも、重要度の低いものは短期記憶として不要になれば削除されていきます。

どんな記憶も、まずエピソード、つまり体験が入口になります。どんな人も「生まれて初めて、例えばパソコンを見て『これはパソコンというものだ』と学習した時」があります。
そして一旦「パソコンとはどういうものか」を学習し、記憶しておくと、別のパソコンを初めて見た時にも「これはパソコンだ」とわかります。そして「初めてパソコンというものを見聞きした体験の記憶」そのものは、余程の感動を伴った場合以外は削除されます。

こうして重要度の高いものほど、エピソード記憶から意味記憶へと移行していきます。

こうした短期記憶から長期記憶、特に意味記憶への移行は、睡眠時に起こっています。
睡眠の中でもレム睡眠といって、夢を見ている時、眼球が動いている時(レムとはRapid eye movement の頭文字で急速眼球運動と訳されます)に大脳の神経細胞のシナプス(繋ぎ目)が新たに作られ、記憶が定着していきます。

つまり、眠らないと脳に記憶は定着されません

ところで「意識が変わる」「意識が高い」の意識は、意味記憶の中でも自己認識(自分はどんな人間か)や価値(何が大事か)、信念(「やればできる」或いは「どうせ頑張っても無駄」などの考え方)に関わる深い意味記憶のことです。

これが変わる時とは、大脳の中で神経細胞のシナプスがどんどん作られている時なので、眠らないと間に合わないのです。

重要な、大きな学習ほど一晩眠っただけでは間に合わず、何日もかけて定着していきます。

休ませないと脳の中はとっちらかる

政治家や経営者で、座禅や瞑想を習慣にしている人が少なくありません。これらは単なる趣味ではなく、レム睡眠と同じことをやっています。

人間の脳は、情報を得るのと同時に、脳に記憶を定着させることはできないようになっています。記憶を定着させるとは、例えて言うなら、脳の中の引き出しに整理することです。どんなすぐれた情報も、脳の引き出しに記憶として整理して入れておかないと、必要になったときにすぐに出して使えません。床に物があふれてとっちらかった状態と、同じことが脳の中で起きてしまいます。

引き出しに整理してこそ、スペースができます。そしてあらたな情報を入れることができます。コミュニケーションにおいては、「相手のことに関心を向ける」ことがようやくできます。脳の中がとっちらかっていては、相手に関心をしっかり向けることはどんな人でもできません。

政治家や経営者は、責任の重い決断の連続です。それも瞬時に下さなくてはならないことが、ほとんどでしょう。そのためにこそ、脳の中の引き出しを常に整理し、瞬時に必要なものを取り出せるようにしておかなくてはなりません(探し物をする時間ほど、無駄で疲れるものはありません。多くの人がこの経験があるでしょう)。

また対人関係能力も、政治家や経営者の重要な資質です。相手が何を望み、何を伝えたいのかしっかり把握するためにも、脳の中にしっかりスペースを作ることが必要です。

これらは政治家や経営者ではない、普通の人々でも同じです。

挫折や困難は「大きな学び」を潜在意識が運んでくるため

挫折や困難の渦中にいる時や直後は、「精神的に疲れてぐったりする」ものです。
それは脳が、起きた出来事(エピソード記憶)を意味記憶に変えて、次に似たようなことが起きた時のために備えようとして、あらたな神経細胞のシナプスを大量に作るので、「強制的に休ませている」からです。そして「大きな学習」をしようとしています。

何もする気が起こらなくて当たり前、何かをして新たなエピソード記憶を取りこもうとすると、脳がパンクするからです。

挫折や困難の渦中や直後、「ぐったりして休む」のは自然な反応ですが、やはり休み方のコツがあります。

上記のように、脳はエピソード記憶から意味記憶へと移行する、つまり出来事に意味づけをしようとします。
「あんな嫌な事をしたあの人は、悪魔だから二度と近付くまい」など、「次に同じ事が起きた時に、自分の身を守り生き延びるために」意味づけをしようとするのです。

そして意味付けをしようとする時に、しばしば自分にやってしまう質問が

「何で(Why)あの人は、私は、○○なんだろう」
「もし、○○だったら(What if)どうしよう」
「うまくいくだろうか、だめだろうか(Yes/No)

です。

これらの質問に「答え」はありません。答えは本当にないのに、ああでもないこうでもないと考え続けると、「完了」することはないので疲れ果ててしまいます。そしてこれらの質問はいずれも「望まないこと」を意識が切り取っています。私たちは、意識が切り取った世界に否が応でも入ってしまいます。

そしてまた、自尊感情が低い人ほど「上手く行かなかった時にがっかりしない『保険』」のためにネガティブな答えを自分から探し出してくっつけてしまいがちです。

しかしこの意味づけ、つまり学習をして、人生が幸せになることはありません。

潜在意識は大きな学びのために、困難や挫折を運んできますが、「どのような学びにするのか」まではあらかじめ指定していません。

「起きた出来事は全て学びのために起こる」

「起きた出来事は全て学びのために起こる」という言葉があります。

これは本当は、最初から学びが自動的にくっついているのではなく、その人が「学びにしている」のです。

「私は何をやってもダメ」とか、「人は信用できない」とか、自分や他人を縮こまらせ、不幸にする学びも学びです。

一方で、どんなに辛く、理不尽で、その時は「二度とこんな思いはしたくない!」と思った出来事であっても、「辛かったけれど無駄ではなかった」と、人生を肯定できるような学びもまた学びです。

どちらを選ぶかはその人次第です。

大きなトラウマよりも、一ヶ月後には忘れているだろうけれど、今は腹の立つ出来事や、小さなトラブルから始めてみるのがコツです。

「私はこの出来事から何(What)を学ぶだろう」
「どのような(How)学びに出来るだろう」

など、WhatやHow、そして主語をIにし、canを使った質問を自分に投げかけておくと効果的です。

そうすると脳は、その答えを導き出すための神経細胞のシナプスを、大量に作ろうとしてくれます。

そして答えは、すぐに出て来ないこともあります。私たち人間には「その年齢になって初めてわかること」もたくさんあります。
しかし小さな、一つ二つの前向きな学びをキャッチできると、「私はこの困難を学びに変えることが出来る」という暗示を潜在意識に入れることが出来ます。

そしてその時既に、「困難に押しつぶされはしない私」「困難から学ぶことが出来る私」の自己認識に変わっています。
このことが既に、自分で自分を励ますこと、即ち自分を大切にすることです。

【音声版・自尊感情を高める習慣・6回コース】

1回約20分、6回コースの音声教材です。

第1回 自尊感情とは何か。何故大事か
第2回 全ての感情を受け止め、否定しないことの重要性
第3回 「何が嫌だったか」を自分に質問する。目的語を補う
第4回 期待通りに成らない現実を受け入れざるを得ない時
第5回 小さな一歩を踏み出す・最低限のラインを決める
第6回 人生が変わるのは知識ではなく氣づき

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🔗第1回・要約・氣づきメモ

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    生きづらい貴方へ

    自尊感情(self-esteem)とは「かけがえのなさ」。そのままの自分で、かけがえがないと思えてこそ、自分も他人も大切にできます。自尊感情を高め、人と比べない、自分にダメ出ししない、依存も支配も執着も、しない、させない、されない自分に。